2016 Fiscal Year Research-status Report
自己表現力育成を目指す英語ライティング授業の構築:英語俳句を用いての実証研究
Project/Area Number |
15K16789
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
飯田 敦史 群馬大学, 大学教育・学生支援機構, 講師 (50622122)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 第二言語ライティング / 俳句 / クリエイティブ・ライティング / 自己表現力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人英語学習者が英語で俳句を作成することにより、どのように自己表現力を養うことができるかを実証的に検証し、日本人に適した英語ライティング授業を構築することを目的としている。本研究2年目の平成28年度は、データの追加収集を行う一方で、過去6年間(平成23年度ー28年度)に収集したすべての俳句の転写作業が完了した。結果として、日本人大学生638名によって作成された6328個の俳句を集めることができた。次年度以降、このデータを用いてコーパスを作成し、本格的な統計(言語学的特徴・感情表現のパターン)分析を実施する。
また、今年度は転写作業が完了している一部のデータを用いて、研究初年度とは違う視点から、新たなパイロット研究を試みた。今回は、大学1年生95名を学部別(教育学部、医学部保健学科、理工学部)に分け、研究参加者が作成した俳句の中で言語学的特徴に違いが見られるかを分析した。この3グループにおいては、全体的に見てほぼ同じような傾向が見られたが、理工学部生が作成した俳句は、教育学部・保健学科の学生が作成したものに比べると、人称代名詞の使用頻度が少なかった。特に1人称(I, my, me, mine)を用いる傾向が少なかった。また、このパイロット研究では、日本人大学生が俳句で自分の気持ちを表現する際に、体の部位を表す単語(face, eyes, hand, heart)を使用したり、色を表す単語(white, read, blue)を用いたりすることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究2年目は、データの追加収集を実施したため、約6000個の俳句の転写作業を完了するにとどまり、本格的な分析を開始することはできなかった。しかし、収集したデータを用いてコーパスを作成することができたので、今後の分析作業は円滑に進むことが予想される。また、今年度は、初年度実施の研究とは違う視点から新たなパイロット研究が実施でき、その成果報告を国際学会 (IGEL 2016 Conference)・国内学会 (The 8th Liberlit Conference)で発表できたので、総合的に「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の1つの目的は、英語俳句のデータ(俳句コーパス)を量的に分析することで、言語学的特徴や感情表現・意味構築のパターンを解明することである。今後、約6000個のデータを様々な統計解析ソフトを用いながら多角的に分析し、日本人英語学習者によって作成された英語俳句の言語学的特徴と感情表現のパターンを一般化していく予定である。
また、平成29年度は、国際学会・国内学会において本研究の中間発表及び、英語俳句の指導法について発表する予定である。国内外の学会で積極的に発表することで、専門家から本研究のフィードバックや助言を得ながら、英語俳句ライティング教授法(Second Language Haiku Writing Pedagogy)の開発に取り組んでいく。
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Research Products
(6 results)