2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16995
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 助教 (50625085)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 維新への支持 / 意識調査 / サーベイ実験 / 都構想 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、当初は平成28年度に調査する予定であった意識調査の実施を前倒し、1)特別区設置に係る住民投票が行われた後に2回、意識調査ないしはサーベイ実験を実施した。このように複数の意識調査等を実施したことで、2)2015年度公共政策学会関西支部大会にて口頭報告を行うことができ、さらに3)研究成果に基づく単著論文を1本公刊することができた(「社会的期待迎合バイアスと投票参加」『法と政治』66巻4号)。 本研究の目的は、維新の会が多数の支持を獲得し得なかった理由を実証的根拠に基づき検討することにある。特別区設置に係る住民投票における反対多数という結果に至った原因を、実証的根拠に基づき明らかにすることは、本研究における最重要課題であり、そのためのデータを十分な形で収集できたことには意義がある。特に維新の会をめぐる言説は実証的根拠に欠くものがほとんどであり、その点を勘案すると、大阪市民・府民を対象とする大規模サーベイ調査を行ったことには、十分な意義が認められる。 さらにいえば本研究は、オンライン上で実施した意識調査の質が必ずしも低いわけではないことも明らかにしている。オンライン上の意識調査の結果は、一般の無作為抽出等に基づく意識調査と比較してデータの質や代表性に劣るとの指摘がある。いかに実証的根拠に欠くとの指摘をしても、その根拠たるデータが十分な信頼性と妥当性を兼ね備えたものでなければ意味はない。本研究ではリスト実験という手法に基づく実験研究を意識調査に組み込むことで、オンライン意識調査のデータが質的に劣るわけではないことも明らかにした。日本における、リスト実験に基づく投票参加の研究は本研究が初であり、この点においても今年度の研究成果には意義があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画としては、平成27年度ではなく平成28年度に意識調査を実施する予定であった。しかし、申請書を執筆した当時から、2015年5月の住民投票の実施に向けて、維新をめぐる政治動向は劇的に変化した。維新への支持態度の研究としては、この住民投票に関する意識調査を行うことが必須であり、急遽、研究費を前倒しする形で平成27年度に意識調査を実施することとなった。 以上のように実施計画を大幅に修正する必要が生じ、必ずしも計画通りに調査・分析を進めているわけではないが、結果としてみれば、当初の予定よりもかなり早く研究成果を発表・公刊することができている。さらにQualtricsといった意識調査実施補助システムを利用することで、申請時に想定していた以上の、高い信頼性と妥当性を兼ね備えたデータを得ることもできている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点において、既に本調査結果に基づく学会報告(1件)と論文の公表(2本)が確定している。平成28年度においては、平成27年度に実施した調査結果に基づき、さらなる学会報告や論文の公刊をめざす。 加えて、補足的な意識調査の実施も検討したい。維新の会は大阪W選の直前に維新の党と分裂し「おおさか維新の会」となった。2016年7月実施予定の参院選においては「日本維新の会」となる可能性もあるが、いずれにせよ、国政政党としてどのような支持をどの程度集めることができるのかは、本研究の関心と直接かかわる問題であり、したがって参院選における有権者の意識や行動を分析することで、維新がなぜ成功/失敗したのかを、より説得的な形で明らかにすることができると考える。
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Research Products
(4 results)