2015 Fiscal Year Research-status Report
ピア効果がチーム生産性に与える影響:競泳データを用いた実証
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15K17029
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山根 承子 近畿大学, 経済学部, 准教授 (40633798)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行動経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、申請書で「研究2」として記した「スーパースター効果」の検証を進めた。申請者らはオンラインで公開されている競泳大会記録から巨大データベースを作成し、それを用いて検証を行っている。スーパースター効果を検証する際に着目するのは、途中でチームを移動した選手である。例えば、スーパースターのいないAチームに所属していた選手が、スーパースターを抱えるBチームに移動したとする。この個人の成績が(その他の条件を全て一定にしたときに)Bチームに移動したのちに上昇していたとしたら、スーパースターはチームメイトに対して正のピア効果を与えていることになる。同様の分析は、スーパースターのいるチームからいないチームに移動した人を追うことでも確認できる。 本年度は主にデータ整備にあてた。チームを移動した人の成績の推移をみるためには、個人がどのチームに属しているかを同定する必要がある。しかし、我々のデータセットではチーム名の表記ゆれが非常に多くみられるため、データクリーニングに相当の時間をかける必要があった。 例えば「林スイミングクラブ」が「HSC」と略されたクラブと同じものであるかどうかを、住所、電話番号、インターネット検索等を用いて同定し、固有IDを振り分けていくという作業を行った。研究補助アルバイトを交え、複数回にわたるチェックを重ねた結果データベースは完成し、分析を行ってその結果を論文「Long-term peer effect」(仮題)にまとめた。この論文は日本経済学会2016年春季大会(2016年6月開催)で報告される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書とは順序を変更して課題を進めているものの、分析に必要な前処理であるデータクリーニング作業が終了し、成果を学会プロシーディングレベルの論文にまでまとめることができたので、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は申請書で「研究1」としたスイミングクラブでのアンケートを行う予定である。「チームメイトとどの程度仲がいいか」「よく話すチームメイトは何人いるか」「普段どのように練習を行っているか」などの社会的指標のほか、身長と体重のような生理的指標も収集する。
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Causes of Carryover |
申請書では27年度にアンケートを実施する予定であり報酬謝礼金を申請していたが、研究の順序を変更して今年度はアンケートを実施しなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度にアンケートを実施する予定であるので、合算して執行する。
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Research Products
(5 results)