2017 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical Study on the Status Attainment Structure of Immigrants in Japan through Comparison with Japanese Nationals
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15K17180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 賢示 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60734647)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 同化理論 / 移民 / 地位達成 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる平成29年度では、(1)平成28年度に実施した社会調査データの分析、(2)研究成果のとりまとめと公表、の2つを実施することを計画していた。 独自に実施した社会調査のデータ分析では、日本国籍者(ネイティブ)、移民第一世代(両親、本人ともに日本国外生まれ)、移民第二世代(両親は日本国外生まれ、本人は日本生まれ)の間で地位達成構造が異なるのかを中心的な問いとして検証した。パス解析の多母集団同時分析や対数線形モデルによる検討の結果、ネイティブと移民第二世代の地位達成構造は類似しており、移民第一世代は前者の2グループとは異なる地位達成構造に置かれていることが明らかとなった。第一世代では出身背景の現在の地位への影響がネイティブや移民第二世代のようにはみられず、出身階層内部の様々な資源が地位達成に動員されていないと解釈できる。 このほか、国勢調査等の公的統計の調査票情報を独自に集計・分析し、移民の子どもの教育にかんするさらなる検討も進めた。分析の結果、中国籍、韓国籍の子どもの就学率や学校適応は日本国籍の子どものそれと類似している一方、東南アジア国籍、南米国籍の子どもが相対的に不利な状況に置かれていることが明らかとなった。一方、国籍間の差異は社会経済的要因のみでは説明しきれないことも確認した。これまでの研究の成果を踏まえて以上の知見を総合すると、第二世代移民の中心である中国籍、韓国籍移民の地位達成は、平均的にみれば日本国籍者のそれと類似していると結論付けられる。一方、ニューカマーである第一世代移民の地位達成においては出身家庭の資源を適切に動員することが難しく、言語その他自身のスキルに依存せざるを得ないといえる。 以上の成果については学会等で報告をおこなった。今後は、議論を通じて得られた示唆にもとづき学術論文、著書等の刊行に向けて引き続き準備を進めてゆく。
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Research Products
(6 results)