2018 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological study of cross-border family disputes in Japan after the accession to the Hague Child Abduction Convention
Project/Area Number |
15K17188
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
濱野 健 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (40620985)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家族 / グローバル化 / 国際法 / ジェンダー / 子ども / 国際結婚 / 離婚 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際結婚の破綻に伴う子どもの連れ去り問題とは、グローバル家族におけるジェンダー構造の問題でもある (伊藤&足立, 2008)。国際的な子どもの連れ去りについての先行研究では、連れ去りを実施するのは圧倒的に女性であるということが明らかとなっている (Edleson, et.al, 2010)。日本政府もこれを重要視、政府は、将来のハーグ条約に基づく子どもの返還要請に対しては、帰国した母子に対するDVの事実を強く酌量すると言及した。申請者はこれまでにも、国際結婚という特殊な移住条件に由来する移民女性が経験する現地での社会的な格差を検証し、こうした問題が生じる要因を示唆してきた。このグローバルなな家族の問題の根底に潜むジェンダー格差への視点は、家族や子どもの「人権」という問題の一般化・普遍化への視点からこぼれ落ちることが多く、社会で広く顕在化できない状況がある。 そこで本研究課題では、「ハーグ条約」の加盟などにより、国境を越えて編成された「グローバル家族」(Beck & Beck, 2014)に発生する婚姻関係の破綻後の子どもの連れ去り問題に対する国際的な「解決」メカニズムが構築される一方、この問題の構造的な要因、国際結婚にという移住形式に由来する、現地での移民女性と社会格差が未解決のままである状況を、現地での調査から明らかにする。日本(人)をめぐるハーグ条約問題を具体的事例とし、移住女性の現地の社会資源 の不足により、家庭内の問題が悪化する経緯、その支援のための現地の日系コミュイティによる現状把握と支援状況を、研究協力者と連携し現地での比較調査にて明らかにする。
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Research Products
(3 results)