2017 Fiscal Year Research-status Report
私的/公的サポートがwell-beingに与える影響に関する実証的研究
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15K17203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 悠 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50631909)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | well-being / 私的サポート / 公的サポート / パネル調査 / パネルデータ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「私的/公的サポートがwell-beingに与える影響」を実証的に明らかにすることを目的としている。2000年代以降の日本では、若者の自殺率が高まっており、「well-beingに対する公的サポート(生活相談・就労支援など)の効果」の研究が急務となっている。公的サポートの効果を正確に調べるには、「私的サポート(配偶者・家族・友人などによる)をも視野に入れた、パネル調査(追跡調査)」が不可欠である。しかし日本ではそのような調査は行われてこなかった。そこで本研究では上記の調査を行い、得られたパネルデータから、「私的サポートによる影響」を考慮に入れた上で、「どのような公的サポートがwell-beingを改善させるのか」を計量的に分析することをめざしている。 2015年度では、第1波調査を実施し、若年層20~49歳795人の回答を得た。 2016年度では、その回答データを用いて、(パネル調査を必要としない)幼少期から学齢期までの経験が現在のウェルビーイングに与える影響を検討し、若干の仮説群の構築を試みた。 2017年度では、育児休業による研究中断があったため、第2波調査を実施するという申請時当初の予定を変更し、仮説群のさらなる構築を試みることとした。その結果、学齢期までの経験だけでなく、現在あるいは近過去の私的/公的サポートとの関連が一部見出された。ただし現在の私的/公的サポートとの関連については時間的な同時性によりwell-beingとの因果関係が不明であり、その点の解明には、2018年度末(あるいは状況によっては2019年度前半)に行う予定の第2波調査のデータを組み込んだパネルデータによる分析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年度には、申請時当初には予定していなかった出産(およびそれに伴う長期的な育児休業取得)があったため、出産準備期間と育児休業期間は本研究を行うことができなかった。その分、当初予定よりはやや遅れが生じた。そのため、第2波調査を約1年間後ろ倒しし、研究期間を1年間延長する申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度では、第1波データを用いて、幼少期から学齢期までの経験や近過去の私的/公的サポートが現在のwell-beingに与える影響と、現在の私的/公的サポートと現在のwell-beingとの関連について、それらの両方を視野に入れた総合的な分析を行い、well-beingの諸要因の総合的なメカニズムについての仮説群の構築を試みる予定である。 2018年度末あるいは2019年度前半には、第2波調査を行い、パネルデータを構築したうえで、「私的サポートによる影響」を考慮に入れた上で、「どのような公的サポートがwell-beingを改善させるのか」を計量的に分析することをめざす。
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Causes of Carryover |
申請時当初には予定していなかった出産(およびそれに伴う長期的な育児休業取得)があったため、出産準備期間と育児休業期間は本研究を行うことができず、第1波データの分析(助成金を使用する必要がない研究活動)のみにエフォートを費やしたため。 2018年度には年度末に第2波調査を行うことで、当該額を使用する予定である(ただし状況によっては使用時期を2019年度前半に延期する可能性もある)。
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