2015 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダー・家族政策をめぐる国民意識の通時的分析―日瑞仏の比較研究
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15K17228
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
浅井 亜希 立教大学, 法学部, 助教 (40709573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家族政策 / ワーク・ライフ・バランス / 男女共同参画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本、スウェーデン、フランスにおけるジェンダー・家族政策がいかに人びとの意識を変化・形成しているか検討することにある。具体的には、1950年代から現在までの、日本、スウェーデン、フランスにおける世論調査を対象としている。平成27年度は、「仕事と子育て両立」や「女性の就労」に関する人びとの意識変化を分析し、日本、スウェーデン、フランスにおいて国際比較のための準備を行った。そのために1.各国における歴史的な世論調査データの入手と、2.各国のジェンダー・家族政策に関する歴史的資料収集、および3.人びとの意識変化と家族政策の関連性の検討をはじめた。 1.各国における歴史的な世論調査データの入手:日本については、NHKによる「日本人の意識調査」を中心とした。スウェーデンにおいては、ヨーテボリ大学のSwedish National Data Service(SND)を中心に、一部The Swedish Gallup Instituteの調査を対象とした。フランスについては、フランス世論調査研究所Institut francais d'opinion publique(IFOP)によるSondagesを対象とした。これらのサーベイから、仕事と子育ての両立や女性の就労に関する質問項目を抜き出し、かつその調査実施時期を調査月レベルの細かさで把握した。 2.各国のジェンダー・家族政策に関する歴史的資料収集:日本、スウェーデン、フランスにおける、家族政策の制度変化を歴史的に整理した。主に、児童/家族手当といった所得保障分野の政策と、保育サービス分野の政策の変遷、女性の就労実態に関する時系列データを調査・整理した。インターネット上で入手不可能なデータ、資料については、現地調査を実施した。 3.人びとの意識変化と家族政策の関連性の検討:1および2の分析をもとに、理論的な検討をはじめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、3月にフランスおよびスウェーデンにて資料調査を行ったが、年度終わりであったために、収集した資料の整理、分析が年度中に十分に行うことができなかった。 しかしながら研究計画における、1.各国における歴史的な世論調査データの入手について、および2.各国のジェンダー・家族政策に関する歴史的資料収集は、可能な限りのデータを入手することができている。このように、研究計画に沿って、調査や実証研究、理論的考察の深化の両面にわたって、研究活動を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、ジェンダー・家族政策をめぐる世論の比較分析を発展させた、福祉国家に対する人びとの意識変化という、マクロな国際比較研究を実施する。さらに、平成27年度からの分析と結合した、ジェンダー・家族政策をめぐる世論と福祉国家の支持の関係を検討する。 具体的には、福祉国家に対する人びとの意識は、ジェンダー・家族政策をめぐる意識調査よりも幅広くとらえることができる。例えば日本においては、内閣府大臣官房政府広報室が1958年より毎年実施している「国民生活に関する世論調査」は、もっとも重要と思う政策や、政府への要望として、福祉や社会保障関連の項目が作られている。また、スウェーデン、フランスにおいても、特に選挙実施と関連して、SCB(スウェーデン)、IFOP(フランス)だけでなく、メディアによる世論調査も行われてきたため、その動向を政治過程のダイナミズムとともに整理する。
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Causes of Carryover |
本年度はデンマークへの学会参加、およびスウェーデン、フランスへの資料調査を行ったが、為替レートの変動により、少額の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、研究計画通り、調査資料の分析および資料収集を行うため、次年度使用額分も問題なく使用できる。
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