2017 Fiscal Year Research-status Report
早期精神病の家族負担軽減のための新規介入の開発とRCTによる効果研究
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15K17300
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
白石 直 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30632989)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 家族介入 / 家族心理教育 / 精神病性障害 / 統合失調症 / 青年期前期 / 介護負担 / 家族アウトカム / 無作為割付比較試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に研究プロトコルに従い、無作為割り付け比較試験(RCT)による介入とデータ収集を終了した。地域の精神科医療の中心的役割を担う4つの精神科病院からなる研究実施施設で、284名の患者家族に対して本研究への適格性を評価した。適格基準を満たさなかった対象者は38名、研究参加への同意を得られなかった対象者は164名、主治医による判断で参加を見合わせた対象者は8名であった。
結果、計74名の統合失調症患者(15歳以上39歳以下)・家族から研究への参加の同意を得た。各施設の研究参加人数の内訳は、八事病院24名、楠メンタルホスピタル21名、豊田西病院12名、南知多病院17名であった。最小化法を用いた無作為割り付けを行い、37名が介入群、37名が対照群に割り付けられた。独立した研究補助機関が無作為割り付けを行い、隠蔽化によるRCTの内的妥当性を担保した。
介入群には、10グループに対して多職種チームによる家族介入と通常治療、待機群には、通常治療のみを行った。各グループには、3~5名の家族が参加し、隔週全5回、教育セッションとグループセッションで構成される2時間のプログラムを施行した。評価は、割り付け時・10 週後(介入終了時)・14 週後の3 時点で、家族に対して精神的健康度・スティグマ・不安・介護負担・感情表出、患者に対して主治医によるGAF(機能の全体的評定)の測定を行った。全フォローアップ終了まで、介入が原因と考えられる有害事象の発生を認めなかった。平均出席回数4.8回と高く、全評価で欠損値の発生を認めなかった。現在、研究はデータ解析、論文投稿の段階に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
全介入とデータ収集を終了後、平成29年度に統計解析を行い、得られた結果を英文論文にまとめて学術雑誌に投稿した。しかし、投稿先から新たな統計解析の提案を含む大幅修正を求められており、本研究の成果を社会に発信する段階で遅れが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿雑誌からの修正点に対応し、新たな統計解析を行うため、統計学の専門家に相談する。全修正を完了し次第、論文を再投稿し、受理後、学会発表と開発したプログラムの普及のため医療従事者を対象とする研修会を準備を速やかにして行う。
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Causes of Carryover |
論文投稿時、英文校正や統計家へのコンサルテーションを行うため、また、論文受理後、国際学会への参加と研修会の開催を通して研究の成果を社会・国民に発信するため。
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