2017 Fiscal Year Research-status Report
進学前の期待便益と卒業後に得た便益に見る、女性に固有な大学進学の効用に関する研究
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15K17388
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
日下田 岳史 大正大学, その他部局等, 助教 (30734454)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 母親 / ライフコース / 生涯所得 / 事後的収益率 / 高校生 / 期待便益 / 進路選択 / 母子調査、追跡調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、女性の大学教育にかかる事後的収益率の計測を行った。その結果、(1)学歴の主効果が最も高いのが高卒であるということ、(2)短大卒と働き方(ライフコース)との交互作用項は統計的に有意でないということ、(3)大卒と就業継続型のライフコース(育休含む)との交互作用項は統計的に有意であるということ、(4)就業継続型のライフコース(育休含む)の大卒女性の事後的収益率は、調査への回答時点で、1.025%だと推計されるということが、それぞれ明らかとなった。第二に、以上のような女性の経験や認知が、その子供(高校1年生)の認知と希望進路に対して如何なる影響を与えているのか検討するため、実証分析を行った。その結果、(1)母親の学歴や配偶者の年収は、母親が認識する教育上の様々な便益への認知を促し、それが子供に伝播するということ、(2)教育上の様々な便益に関する母子の認知のうち、子供の希望進路に有意な影響を与えるのは、母親のそれのみであるということ、(3)子供の認知が希望進路に影響を及ぼすという構図があるとすれば、それは母親の認知が無視されることによって生じる見かけの相関であるということが、それぞれ明らかとなった。以上の成果は後述の学会発表の形で公開されるともに、博士論文に反映された。第三に、母子を対象とする追跡調査を実施した。実施時期は、子供が高校3年生の3月(すわなち2018年3月)という、卒業後の進路が概ね確定したと思われる頃合いとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「進学前の期待便益と卒業後に得た便益」というテーマを直接受けた事後的収益率の計測を行い、当事者の事前的収益率との含意を検討することができたため。さらには、母親が経験した卒業後の便益と、子供が期待する便益との関係について、実証的に検討することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年3月に実施した追跡調査から得たデータを整理してパネルデータを構築し、母子の回答の2時点間の変化を検討しながら、今年度の研究を通じて得た知見の精査を行う。
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Causes of Carryover |
追跡調査の実施時期として2018年3月を選んだため、検収と支払いを2018年4月以降に行うことになった。ゆえに、次年度使用額が必要となった。
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Research Products
(2 results)