2015 Fiscal Year Research-status Report
非線形放物型方程式に対する解の精度保証付き数値計算理論の研究
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15K17596
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| Research Institution | Waseda University |
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Principal Investigator |
高安 亮紀 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (60707743)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 精度保証付き数値計算 / 数値解析 / 非線形発展方程式 / 解の数値的検証 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は主に以下の2つである．1つ目は非線形放物型方程式に対する解の精度保証付き数値計算理論を構築するために，解析半群を用いた不動点定式化を利用してある時間区間において数値解の近傍に解が局所一意存在することを示す計算機援用手法を確立した．そして解の存在が示す事ができる時間区間を延長するための解の連結スキームを提案し，初期時刻から所望の時刻までの解の存在検証を数値的に検証する手法を確立した．
具体的には，数値計算によって得られた近似解の近傍において，適切な関数空間のもとで解が局所一意存在する十分条件をバナッハの不動点定理から導き出した．その十分条件は精度保証付き数値計算を用いて数値的に検証することができ，これにより解の局所的な包含が得られた．本手法で用いる近似解は適当な関数空間に属していれば十分であり，近似解を計算する計算スキームに左右されない汎用的な検証理論が構築できたことになる．さらに放物型方程式の拡散効果を利用した評価によって，評価の増大を抑える事に成功し，ある程度長時間にわたって解の包含ができる事を示した．
主な成果の2つ目は定常解の近傍に解が時間大域的に存在することを検証する手法を開発，いくつかの非線形放物型方程式の大域解を数値的に検証することに成功した．放物型方程式の定常解は楕円型方程式となる．これまでの精度保証付き数値計算理論によって多様な定常解の存在と局所一意性が数値的に検証でき，定常解存在を数値的に検証することは容易にできる．そこで定常解近傍の解の大域的なふるまいを保証する数値的に検証可能な条件を導出した．このことは力学系でいうbasinの構成に対応している．局所包含の手法と同様にここでも解析半群を用いた不動点定式化が鍵となり，定常解へ漸近する時間大域解の定量的な明確化が可能となった．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果により非線形放物型方程式に対する解の精度保証付き数値計算の方法論がある程度確立された．さらに成果の2つ目は，当初，平成28年度実施予定の課題に対する成果であり，研究は計画以上に進んでいるといえる．
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度は非線形放物型方程式に対する解の精度保証付き数値計算について，ある程度の方法論が確立された．一方で解の精度の面で，課題が残っている．これは「近似解の精度不足」と「低次評価を導く不動点定式化」が原因であると考えられる．今後は近似解の精度を向上するため，空間方向，時間方向ともに高精度な近似解を構成する．一例として空間方向に直交基底，時間方向に高次の多項式近似を用いる方法が考えられる．しかし，このような近似解の構成は実装に時間がかかる見込みである．さらに不動点定式化を高精度化するために，解析半群の代わりに発展作用素を効果的に利用することも今後の課題である．
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| Causes of Carryover |
今年度は研究に必要な経費の各項目について早稲田大学内の研究奨励費用にて一部支出できたため，当初予定していた金額を使用する必要が無くなり，当該助成金を次年度に繰り越すことができた．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と予定している次年度の支出額を利用し，2016年9月中旬からドイツのハンブルク工科大学で研究滞在を企画している．
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Research Products
(18 results)
