2015 Fiscal Year Research-status Report
超音波振動を利用した超滑水CNT複合シート構成による着雪氷防止技術の研究
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15K17962
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
柳澤 憲史 長野工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (90585580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超音波振動 / 滑水性 / 滑雪性 / 難着雪性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はCNT複合シート上の滑水性を良好にする最適な振動の周波数と振幅を明らかにすることを目的として,CNT複合シートを作製し,超音波振動加振用の共振器の設計を行った.これらにより,振動を加振した状態での滑水性を測定した結果,振幅と周波数の増加により滑水性が向上するという結果が得られた. 滑水性向上がみられる振動の周波数や振幅が明らかになることで,次年度は,振動を加振したシート構成の難着雪性の確認を行う. 本シート構成を表面保護用途として様々な雪質の着雪氷防止になることが確認できれば,水や雪氷と構造物の界面に超音波振動を加振するための新たな応用研究創出にもつながり学術的意義が高い. その効果は,現在着雪氷が氷塊に成長する前に莫大な費用と労力をかけて人力で除去するしかなかった橋梁・トンネル・標識や高地・豪雪地帯に多い中継局アンテナ・パラボラアンテナなどの社会インフラへの着雪氷を防止することが可能である.国土の約半分が豪雪地帯であり,その豪雪地帯に約20%の国民が居住する日本だけでも,年間約1,400億円掛かっている雪氷に対する対策費用の1割削減できたとしても,毎年100億円以上の経済効果が期待できる.μmオーダーの振幅,20kHz以上の周波数という人間には知覚できないような振動でも超滑水性を示し,着雪防止へ適用可能であれば,人間の生活範囲への応用も可能となり,着雪による鉄塔の倒壊事故なども防止でき,社会的意義は大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は超音波振動加振用の共振器の設計を行い,この共振器を用いた超音波振動加振による滑水性評価実験を行う予定であった.周波数20kHz以上の振動を入力できる共振器の数値解析による設計ができたが,実際に試作した装置は20kHz以上でノイズが大きく滑水性評価ができなかった. しかしながら,目標のおよそ10分の1の周波数である2kHz程度の振動の入力は可能となり,この程度の周波数でも,特にCNT複合シートの滑水性がCNT複合しないシートよりも向上することが確認できた. そのため,平成28年度に周波数20kHz以上の振動加振装置のノイズを除去できれば,さらなる滑水性の向上が期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
上記したように,超音波振動の加振の際に予期せぬノイズが発見されたことにより進捗に遅れが生じている.平成28年度は当初予定どおり,滑水性が向上したシート構成による滑雪性の評価試験を行うが,並行してこのノイズ除去も進める. このために,平成28年度は本科5年生2名にそれぞれのテーマを進めてもらう予定である.さらに,専攻科1年生も昨年度から継続してこのテーマに従事してもらえるために,進捗の遅れを取り戻せるものと思われる.
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった,有限要素解析装置一式を本校の実施経費により購入可能となったため解析用ソフトの保守費用として,この分は次年度に使用予定である.また,超音波振動加振装置のノイズ発生のため装置開発が遅延していたため,使用できなかった分もあった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノイズ除去のために平成28年度は装置の改良を行うための費用として使用予定である.上記したように解析用ソフトの保守費用としても使用予定である.
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Research Products
(3 results)