2015 Fiscal Year Research-status Report
世界の水需給バランスを動的に考慮した全球水循環モデルによる極端現象の予測可能性
Project/Area Number |
15K18118
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 朋人 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10554959)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 準季節予報 / 地球水循環 / 灌漑 / 地下水 / 予測可能性 / 全球気候モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
灌漑農業を中心とする地下水や河川水の利用といった人間活動は地球水循環に作用し、大気循環への影響も考えられる。これまで人間活動の影響を考慮した陸域の水循環についての検討がなされてきたが、大気場との相互作用を含めた議論も重要な研究テーマである。そこで、本研究では、近年開発されてきた灌漑用水や地下水汲み上げ効果を考慮した陸面過程モデルに大気大循環モデルを結合させることによって人間活動が大気場を含む地球水循環にどのような影響を与えるのか検討を行った。 まず、同モデルを用いた複数年の気候値計算を実施し、深層地下水使用量、水熱収支、大気場の応答などを分析した。その結果、深層地下水の使用量や灌漑要求水量に関して、全球水循環モデルは観測値と同程度の値を推定することがわかった。また、人間活動の影響を考慮することによる気温や降水量等の水文気象場への影響を明らかにした。 次に、人間活動の影響を考慮した全球水循環モデルを用いた複数のアンサンブル予報実験を実施した。ここでは準季節スケールの水文気象場が人間活動の考慮によってどの程度影響を受けるのか議論を行った。その結果、夏の北米中央部では、アンサンブルメンバー間のばらつきの程度が人間活動の影響を考慮することによって減少することがわかった。また、人間活動の影響を考慮することは、地表付近の変数の予報スキルの向上に寄与するとの結果が得られた。今後は、得られた成果の水文気象学的な特徴や物理過程を解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記すとおり、人間活動の影響を考慮した全球水循環モデルを確立し、準季節スケール予報実験まで1年目で行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
同モデルによる全球スケールの数値実験を行い、過去に発生した大陸規模の極端現象の予測可能性に関する検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
3月に、クリアファイル・クリップ・付箋・ホチキス針を購入したため、その支払が翌月の4月となった。そのため次年度の支払いとなり、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、すべて翌月支払分として処理されており使用済みであるため、当初の計画に変更はなし。
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Research Products
(11 results)