2017 Fiscal Year Research-status Report
ニホンジカとニホンカモシカの環境及び餌資源における競合に関する研究
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15K18710
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
安藤 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (80526880)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ニホンジカ / カモシカ / DNAバーコーディング / 次世代シーケンサー / 糞分析 / 種間競争 / 自動撮影装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在日本国内ではニホンジカ(以下、シカ)の分布拡大と個体数増加による森林下層植生の衰退が問題となっている。またこの問題は森林に生息する他の生物にも影響を与えている。シカと同じく大型の草食動物であるカモシカとシカ(以下、両種)とが同所的に生息する地域においては、生息域や餌資源を巡る両種間の競争が生じていると考えられており、シカの影響によりカモシカ個体数の減少や利用場所の変化が報告されている地域も存在する。しかしながら両種間の種間関係についての研究は少なく、詳細は不明である。 本研究では岐阜大学位山演習林(岐阜県下呂市)にて両種の種間関係の一端を明らかにするため、 (1)林内に20台の自動撮影装置を設置して両種の土地利用傾向を明らかにするとともに、(2)次世代シーケンサーを用いたDNAバーコーディングによって両種の餌植物の同定を実施した。 (1)2014年ー2016年の3年間にわたって撮影された自動撮影装置の映像を解析したところ、カモシカの撮影頻度は春にゆるやかなピークを示した後、冬に向かって漸減していた。一方でシカの撮影頻度は8ー9月に非常に明瞭なピークを持つことが明らかとなった。先行研究より、この傾向はニホンジカが土地利用の季節変化に依存して撮影頻度が変化しているのに対し、固定的ななわばりを持つカモシカは活動量の季節変化が撮影頻度の増減に影響を与えていると考えられた。 (2)シカ・カモシカの糞の次世代シーケンサーによるDNAバーコーディングについて、これまで2度のRUN(1回目:95サンプル、2回目:51サンプル)の分析結果を得ている。現在、2回のRUNで得られたデータセットの統合を図っており、今後さらに分析を進め予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2回のRUNで得られた次世代シーケンサーデータの質に差があり、また解析に用いていたソフトウェアの一部仕様変更も相まって、これらを統合した解析が難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた糞サンプルの種判別を進めるとともに、既に得られているDNAバーコーディングの結果の解析を進める。自動撮影装置から得られた結果について、GLMM(一般化線形混合モデル)やGAMM(一般化加法混合モデル)等を用いることで、ニホンジカおよびカモシカの土地利用の選好性や季節性、また活動の季節変化に関する解析を進める。得られた結果から論文を作成する。
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Causes of Carryover |
学内業務の負担量の増加により、糞の種判別および2回の次世代シーケンサーのRUNから得られたデータの統合に想定以上の労力がかかり、年度内に研究を完了することが困難であった。平成30年度中に次年度使用額を活用してこれらの実験・解析を完了させ、本課題を完結させる予定である。
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Research Products
(3 results)