2017 Fiscal Year Annual Research Report
Genome analysis of feline coronaviruses for the establishment of genetic diagnosis of feine infectious peritonitis
Project/Area Number |
15K18795
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小熊 圭祐 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (50436804)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 猫コロナウイルス / 猫伝染性腹膜炎 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では病理学的な検査が診断に必要な猫伝染性腹膜炎(FIP)について、その遺伝子診断法確立のための知見を得ることを目的とした。これまでに動物病院に来院した約50頭の猫から猫コロナウイルスを含む検体を得られた。県動物保護施設の19頭の非FIP猫の糞便からも猫コロナウイルスを検出した。本申請研究で30例の滲出液(胸水・腹水)から検出された猫コロナウイルスを解析した結果、28例(93.3%)に当該変異が認められたが、動物保護施設の非FIP猫の糞便から検出されたウイルスには一切認められなかった。また、ウイルスの3c遺伝子は機能が不明であるが、60%以上のFIPウイルスは蛋白の短縮につながる変異を持つとされている。本研究でも滲出液中ウイルスの3c遺伝子を解析した結果、80%に変異が生じていた。以上の結果は既報の結果と一致している。滲出液中のウイルスの80%はSおよび3c遺伝子の両方に変異を持っていたため、両遺伝子の変異がウイルスの病原性に関与していると考察している。また、ウイルスの病原性に関与することが示唆されている機能の不明な7a(セブンエー)および7b遺伝子にも着目して解析を行った。その結果、非FIP猫の糞便中ウイルスおよび滲出液中ウイルスのどちらにおいても、蛋白の短縮につながる変異が認められ、FIPウイルスと非FIPウイルスの間で変異の有無の割合に特定の傾向は認められなかった。S遺伝子および7a・7b遺伝子の解析結果の一部は日本獣医学会学術総会で発表した。また、S遺伝子と3c遺伝子の解析について現在論文投稿中である。予定どおり次世代シーケンサーによる解析も行ったが、その結果の詳細な解析には追加の検体の実験が必要となったため、現在進めている。解析中である。今後は本研究結果を発展させ、3c蛋白や、7a・7b蛋白の機能と、遺伝子変異による蛋白機能の変化を解析する。
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Research Products
(2 results)