2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K18903
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
住吉 孝明 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (50738911)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 創薬化学 / ムスカリン受容体作動薬 / 有機合成化学 / 部分作動薬 / 中枢神経作用薬 / Gタンパク結合型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ムスカリン受容体は、副交感神経を活性化する神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体である。ムスカリン受容体にはM1-M5の5つのサブタイプが知られており、M1受容体が認知機能に関与することが報告された報告を基盤として、認知症治療薬として種々のムスカリン受容体作動薬が探索された。しかし、それらの多くは選択性が低く、心臓のM2受容体や消化器のM3受容体も作動し、徐脈や嘔吐などの副作用で臨床試験は中断された。そこで、サブタイプ間で相同性が低いアロステリック部位に結合する化合物の研究が進められ、M1受容体に選択性が高い作動薬が見出された。しかしながら、臨床試験に進んだ化合物に発汗作用が報告され、治験は中断された。すなわち副作用を低減したM1受容体作動薬創製には、選択性を高める戦略に加え、M1受容体に由来する副作用を低減する化合物が必要である。本研究では、ムスカリンM1受容体の部分作動薬を探索し、課題解決を目指す。部分作動薬は単独で受容体に結合し活性化するが、その最大作用量は生体内リガンドよりも低いため、受容体のシグナルを「適度な活性化状態」に安定化できる。 申請者は、これまでムスカリンM1/M4受容体作動薬の創製に従事してきた。見出されたM4受容体の「部分作動薬」がM4受容体の完全作動薬と同等の薬効を保持しつつ副作用が低減された知見を応用し、本研究では認知機能に関わるM1受容体の選択的部分作動薬の創製を目指す。M1およびM4の両受容体の部分作動薬をリード化合物とし、M4作動性発現に必須の鍵構造であるN-carbethoxy piperidine構造を変換することでM4受容体作動性のみを乖離し、M1受容体部分作動薬を見出す。本研究は、現在方法論が確立していないGタンパク結合型受容体の部分作動薬の探索に新たな手掛かりを提供し、創薬化学の活性化に寄与することも期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(研究計画) ムスカリン受容体作動性を評価するアッセイ系の構築である。購入可能なM1-M5の各サブタイプを発現させた細胞株を購入し、作動薬の作用によって流入するCa2+を検出する。検出に使用する蛍光試薬は高感度のFLIPR Calcium Assay Kit(Molecular Device社)を用い、部分作動薬の比較的弱いシグナルを検出する。コントロールにはacetylcholineを用い、そのEmaxやEC50値と比較して部分作動性を数値化する。また、xanomeline等の既知リガンドをポジティブコントロール化合物として用いてアッセイ結果が妥当か否かを検証する。また、M2-M5受容体は1次スクリーニングをクリアした化合物についてのみ行う。蛍光を検出する装置は、京都大学薬学研究科に設置されているMolecular Device社製のFLIPRを利用する。これらの組み合わせは申請者も利用した一般的な方法であり、高い確度で系を構築できる。もし細胞によってバラツキがあり、作動性が安定しない場合、他社から購入可能な別の細胞やエクオリンを用いる蛍光法を検討する。 (進捗状況) 研究計画に従って、まずは化合物の薬理活性を評価するためのアッセイ系構築に取り組んでいる。ムスカリン受容体を強制発現したHEK細胞は高額であったため断念し、ムスカリンM1受容体を強制発現したCHO細胞を購入した。この細胞を十分量確保するために培養を行った。また、大阪大学で浜松ホトニクス社製FDSS7000を使用できたため、現在、培養したCHO細胞とこの装置の組み合わせで評価できるか検証している。ポジティブコントロールとして、2種類の既知ムスカリン受容体作動薬を合成するとともに、M1/M4受容体部分作動薬をリード化合物とし、合成展開を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
(平成28年度の研究計画) 今後は、化合物のスクリーニング、すなわち①ムスカリン受容体発現細胞を用いた薬効評価、②化合物合成に取り組む。化合物の合成後速やかに活性評価を実施する。また、これまでの研究においてM5作動性を有する化合物はほとんどないため、M5作動性の評価は有望化合物に絞って実施する。さらに、鍵中間体の合成に取り組み、得られた鍵中間体を用いてパラレル合成を行い、環状構造を有する各種置換基を導入する。得られた構造活性相関情報をM1/M4受容体作動薬の探索研究の結果と組み合わせて、最適化研究を行う。部分作動性が不十分な化合物しか得られない場合、立体的にかさ高い架橋複素環構造を検討する。それらの部分構造は合成に工程数がかかるがトロパン骨格などの合成方法を確立済の化合物を使用する。 (今後の研究の推進方策) ムスカリン受容体のサブタイプであるM2-M5受容体に対する作動性評価を効率化する。一次スクリーニングはM1受容体作動性を指標として行うこととしている。しかし、4つのサブタイプすべての評価系を確立することは時間がかかるため、外部のスクリーニングを利用し、効率的なデータ取得を行うことを検討している。一次スクリーニングの基準をクリアした化合物に対する二次スクリーニング(M2-M5受容体に対する作動性評価)および化学合成の進捗状況に応じて、本研究課題に取り組む学生の増員を行い、研究をさらに推進する。
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Causes of Carryover |
2月から論文投稿の準備をし、英文校正を依頼するつもりであったが、学内の期日内に依頼ができなかったため、英文校正依頼料に相当する金額を翌年度分として使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、学会出張に伴う国内旅費として10.1万円、参加費として9千円、論文校正依頼に6万円を人件費・謝費として使用する計画である。また、残り108万円をムスカリン受容体発現細胞等の試薬購入に充てる。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Discovery of new low-molecular-weight p53-Mdmx disruptors and their anti-cancer activities2016
Author(s)
Uesato, S.; Matsuura, Y.; Matsue, S.; Sumiyoshi, T.; Hirata, Y.; Takemoto, S.; Kawaratani, Y.; Yamai, Y.; Ishida, K.; Sasaki, T.; Enari, M.
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Journal Title
Bioorganic & Medicinal Chemistry
Volume: 24
Pages: 1919-1926
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Discovery of dihydroquinazolinone derivatives as potent, selective, and CNS-penetrant M1 and M4 muscrinic acetylcholine receptors agonists2015
Author(s)
Uruno, Y.; Konishi, Y.; Suwa, A.; Takai, K.; Tojo, K.; Nakako, T.; Sakai, M.; Enomoto, T.; Matsuda, H.; Kitamura, A.; Sumiyoshi, T.
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Journal Title
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
Volume: 25
Pages: 5357-5361
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Selective synthesis of 3,3-disubstituted oxindole and N-hydroxy oxindole via activation of carbonyl group by acid2015
Author(s)
Sumiyoshi, T.; Yamai, Y.; Ishida, K.; Shimizu, M.; Zhu, L.; Takeuchi, K.; Uesato, S.; Nagaoka, Y.
Organizer
The 10th International Symposium in Science and Technology 2015
Place of Presentation
Chulalongkorn University, Bangkok, Thailand
Year and Date
2015-08-31 – 2015-09-01
Int'l Joint Research
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