2015 Fiscal Year Research-status Report
ストレス制御によるアレルギー性疾患の発症予防とその作用機序の解明
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15K18912
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
荒川 友博 摂南大学, 薬学部, 助教 (70581388)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ストレス / アレルギー / セレン / セレノメチオニン |
Outline of Annual Research Achievements |
アレルギー性疾患には、酸化ストレスの関与が示唆されている。また、アレルギー性疾患患者において体内セレン量の低下が報告されている。セレンは酸化ストレス防御系を担う重要な役割を演じており、その機能の代表的なものとしてグルタチオンペルオキシダーゼ1などのセレン含有酵素があり、これらは活性酸素種を消去する。これらのことから、セレンはアレルギー性疾患の予防に重要な役割を演じることが考えられるが、栄養生理学的に必要な範囲が狭いため、これまで健康維持や疾病予防のために積極的に利用されていないのが現状である。しかしながら、近年、食品中に多く含まれる化学形の一つであるセレノメチオニンは、生物学的利用能が高く、毒性が低いことが報告されており、セレンの安全かつ有用な活用が期待される。本研究ではセレノメチオニン摂取によるストレス制御がアレルギー応答に及ぼす作用およびそのメカニズムを明らかにする。平成27年度は、アレルギーモデルマウスを用い、セレノメチオニン投与量とアレルギー反応の関連性を検討した。その結果、慢性皮膚アレルギーマウスモデルにおいて、セレン投与量に依存してアレルギー反応が抑制されることを見出した。また、その際、炎症部位においてセレノメチオニン投与量依存的にインターロイキン4 mRNA発現量およびタンパク質発現量が低下すること、アレルギー反応誘発により誘導された酸化ストレスの上昇がセレノメチオニン投与により抑制されること、血清総IgE値および抗原特異的IgE値が低下することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セレノメチオニン投与がアレルギー応答に及ぼす基礎的データを得ることができた。また、マクロファージやマスト細胞を用い、セレノメチオニンがこれらの細胞に与える影響に関して、先行して検討に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、これまでに動物実験から得られた基礎的データをもとに、セレン欠乏状態を含めた各種セレン状態におけるアレルギー応答、サイトカインやケモカインの発現変化、リンパ球サブセットの解析を行う予定である。 また、マクロファージやマスト細胞を用いたin vitro実験系において、セレノメチオニンが炎症性サイトカインや一酸化窒素(NO)、脱顆粒反応に与える影響およびそのメカニズムの解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも動物実験にかかる費用が安くついたためと、なるべく高価な試薬やキットを使用せずに自前で測定できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度から動物実験において、サイトカインやケモカインの発現変化、リンパ球サブセットの解析を行う予定である。また、細胞を用いたin vitroの実験系において、セレノメチオニンの作用メカニズムの解析を進める予定である。試薬や培養器具の購入のため、今まで以上に多くの研究費が必要であり、必要経費として計上した予算の全てを消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)