2015 Fiscal Year Research-status Report
初期ゴルジ品質管理機構の生理的役割と分子機構の解析
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15K19002
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
原 太一 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00392374)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳 / マウス初期胚発生 / 細胞膜タンパク質 / タンパク質品質管理機構 / 細胞内膜輸送 / ゴルジ体 / 小胞体品質管理 / 多能性幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
新たに合成された細胞膜タンパク質は小胞体品質管理システムによって厳密に品質管理されており、正しいフォールディングや複合体形成に成功したものだけが小胞体からゴルジ体へと運搬される。しかしながら、立体構造が不完全なタンパク質や複合体形成に失敗した単体のタンパク質が、小胞体からゴルジ体へと搬出されてしまう場合がある。これまでに我々は、変異膜タンパク質を初期ゴルジ体から小胞体に送り返す第二の品質管理機構が存在し、その分子選別装置としてRer1が機能することを明らかにしてきた。一方、Rer1による細胞膜タンパク質の初期ゴルジ品質管理機構が、どのような生命機能に関与するかについては不明な点を多く残している。そこで本研究では、初期発生と高次脳機能におけるRer1の生理的役割に着目し、初期ゴルジ品質管理機構の生物学的意義とその分子機構を解明することを目的とした。平成27年度は、以下の解析を行った。(1)Rer1欠損マウスを作製し、マウス個体におけるRer1の生理的役割を検討した。Rer1欠損マウスは胎生9.5日までに胎生致死となることから、Rer1の欠損によって生じる初期胚発生異常の詳細を解析した。(2)Rer1欠損ES細胞を樹立し、多能性幹細胞の分化誘導系を構築した。この実験系を用いて、多能性幹細胞の分化過程におけるRer1の生理機能を解析した。(3)大脳特異的Rer1欠損マウスを作製し、高次脳機能におけるRer1の生理的役割を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、本年度は解析の基盤となるRer1欠損マウスと組織特異的Rer1欠損マウスの作製を行った。Rer1欠損マウスと組織特異的Rer1欠損マウスの作製は滞りなく完了し、研究計画は順調に進行している。また、次年度に予定していた表現型解析の一部を着手している。現在までに、初期発生におけるRer1の生理的役割について、Rer1が胎生9.5日までのマウス初期胚発生過程に必須の役割を果たすことを明らかにしている。さらに、Rer1の欠損による発生異常の詳細を分子レベルで解析中である。また、多能性幹細胞の分化におけるRer1の生理機能解析も展開している。大脳特異的Rer1欠損マウスの表現型解析は概ね終了しており、次年度に計画していた細胞生物学的解析やRer1の標的分子を探索する準備を進めている。以上のことから、本研究は当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初の計画以上に進展しており、本研究課題の目的を十分に達成できると考えている。今後は、以下の研究を推進する予定である。(1)Rer1欠損マウスの表現型の分子機構を詳細に解析する。(2)Rer1の標的膜タンパク質を同定する。
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Research Products
(18 results)