2016 Fiscal Year Annual Research Report
Search for drug seeds for treatment of pulmonary emphysema targeting adhesion molecules
Project/Area Number |
15K19079
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
萩山 満 近畿大学, 医学部, 助教 (60632718)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アポトーシス / 接着分子 / shedding |
Outline of Annual Research Achievements |
肺気腫は肺胞壁の破壊を特徴とする慢性閉塞性肺疾患である。この組織破壊はプロテアーゼの相対的あるいは絶対的な上昇によって不可逆的に進行すると考えられている。罹患者の8割以上が喫煙者であることから、過度の喫煙が肺気腫発症の誘因と見なされている。しかし、禁煙によって進行を遅らせることはできるが止めることは難しい。その分子機序は解明されていない。 申請者は肺気腫の発症に肺胞上皮のIgCAM型接着分子CADM1(cell adhesion molecule 1)が関与することを発見した。CADM1は細胞外傍細胞膜領域において酵素的に切断(shedding)される。肺気腫ではCADM1 sheddingが亢進状態にあり、その結果過剰に産生されるC末断片がミトコンドリアに集積して、肺胞上皮のアポトーシスを促進していることを見出した。 タバコ煙曝露マウスモデルを用いて、禁煙後も肺気腫が進行する機序について形態学的、分子生物学的検討を行った。C57BL/6Jマウスを用いて、1日8本(朝夕4本)、週5日で12週間喫煙曝露を行った後、12週間禁煙させた。 形態学的に喫煙群では高度の炎症細胞浸潤が見られたが、肺胞平均径の増加はなかった(p = 0.763)。一方、禁煙群では目立った炎症細胞浸潤は認められなかったが、気腔が異常に拡張した(p = 0.016)。CADM1認識抗体のウエスタンブロットに供したところ、喫煙群と禁煙群共にCADM1 shedding率が同週齢の非喫煙群よりも有意に上昇した(p <0.01)。 以上の結果から、CADM1 sheddingの阻害により肺気腫の進行を抑制できる可能性がある。申請者が見出した発症機序に基づいて肺気腫治療の創薬シーズを探索し、根本的な治療法開発への道標となるものとして期待される。
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Research Products
(4 results)