2015 Fiscal Year Research-status Report
単細胞遺伝子発現解析による高機能な制御性T細胞の集積を誘導する皮膚炎治療薬の開発
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15K19687
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
池渕 良洋 大阪大谷大学, その他部局等, 特別研究員PD (00747529)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 炎症性皮膚疾患 / 免疫抑制 / シングルセル解析 / ケモカイン / KikGRマウス / 接触性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、炎症皮膚に「来た」「留まった」「出て行った」制御性T細胞(Treg)の①シングルセル多遺伝子発現解析を行い、②高機能Tregサブセットの同定、③当サブセットの分化責任因子の同定、及び、④当サブセットの人工遊走操作法の確立に取り組んだ。 ①接触性皮膚炎(CHS)を誘導したKikGRマウス(光変換タンパク質KikGRを全身に発現するマウス)の皮膚に対して「来た」「留まった」「出て行った」Tregを分取し、シングルセルreal-time PCR array (scqPCR)を用いて、三種のTregの機能関連遺伝子や遊走関連遺伝子(計96種)の発現profileを検討した。その結果、三種の「動き」のTreg間で大きな差は認められなかった。つまり、「動き」の決定に重要な遺伝子は、今回計測した96遺伝子以外であることが示唆された。 ②高機能サブセットを同定するために、scqPCRデータを用いた統計解析を行った。その結果、主にIl10遺伝子等を発現するレアなサブセットとNrp1遺伝子を発現するサブセットを同定した。これらは、全ての「動き」のTregに共通して存在していた。 ③Il10遺伝子発現サブセットの分化機構を同定するために、データベースKeyMolnet(KMデータ社)を用いた上流因子解析を行った。その結果、複数の分化責任因子の候補が同定された。 ④上述したscqPCRデータの統計解析より、Il10遺伝子発現サブセットは複数のケモカインレセプターを同時に発現することが明らかになった。リガンドであるケモカインを皮膚に投与することで、CHSによる皮膚の肥厚の抑制に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった①scqPCR解析と②高機能Tregサブセットの同定を実施しており、2種以上のサブセットを発見した。これに加えて、平成28年度に実施予定であった③高機能サブセットの分化責任因子の同定と④当サブセットの人工遊走操作法の確立も実施している。③に関しては候補因子の発見とその因子の発現解析及び機能解析まで着手している。④に関しては、既にCHSの炎症を抑制するケモカインの同定に成功している。以上のことから,研究は当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、③に関して、高機能サブセットの分化責任因子の証明を継続する。siRNA法やゲノム編集等の技術を用いて、因子の発現を制御することで、Tregの分化状態や機能の変化を検討する予定である。④に関しては、CHSの炎症を抑制するケモカインの投与がTregの遊走を操作しているか検討する。KikGRマウスを用いた光変換技術を用いることで、遊走の変化を証明する予定である。
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Causes of Carryover |
高機能Tregサブセットの存在を確認するためのフローサイトメトリー法による蛋白質発現解析が当初想定していたよりもスムーズに完了し,必要と見込んでいた試薬(抗体等)を購入する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、高機能Tregサブセットの分化責任因子の発現解析に用いる抗体の購入費に使用する。分化責任因子とTreg機能分子の発現の相関関係を検討する。
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Research Products
(1 results)