2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K19822
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
洞口 拓磨 立教大学, 理学部, 特定課題研究員 (10444069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射線 / 原子核 / 反応断面積 / 粒子線治療 / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、国内の原子核反応データベースを詳細に調べ、粒子線治療における原子核反応データが統計的に十分に測定されていないことと同一の反応における異なる実験グループの測定結果が一致していないことを指摘してきた。また、一般的な原子核反応モデルに基づく原子核反応断面積を計算し、既存のモデルでは十分に実験データを再現できないことを示した。本研究は、粒子線治療における原子核反応データを測定し、データを忠実に再現する原子核反応データモデルを構築した上で、実際に治療計画装置を必要とする医療現場に提供することが目的である。計画している具体的な研究項目は、測定すべきデータの選別、原子核反応データ測定のための検出器の開発、開発した検出器による原子核反応データ測定、測定データによる原子核反応モデルの構築及び粒子線治療における精度評価の4つである。 今年度は、昨年度に引き続き粒子線治療における原子核反応データの統計精度が、医療応用の観点からどの程度のインパクトを持ち得るのかを重点的に検証した。まず、陽子線治療の際に体内で生じる陽電子放出核種を利用し、陽電子と体内の電子との対消滅により生じる2本のガンマ線をPETの原理で検出することで陽子線の照射野を確認するOn-LinePETについて、原子核反応断面積の観点から検証を行った。その結果、原子核反応データから伝搬する照射野への影響は小さくなく、原子核反応データから照射野を確認する場合には誤差を念頭においた上で使用することが望ましいことが分かった。この結果については、引く続き論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年度は、新しい研究環境の獲得に研究時間の大半を費やさざるを得なかった。従って、十分な成果が得られたとは言い難い状況である。一方、2018年度からは研究継続に十分な研究環境を整えることが出来た。実際の測定系の準備段階においては遅れを生じているが、共同研究者等との必要な協力体制等を見直し、今後の進捗のスピードアップに努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、研究継続に十分な研究環境を獲得することが出来た。また、これまで使用していた研究設備を新環境に移動し引き続き使用することが出来たため、研究継続に支障はきたしていない。2018年度はより実際の測定についての準備を進めることに集中する。また、共同研究者との協力体制を見直し、作業効率を検証することで、研究進捗のスピードアップを図る予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 画像検出器自体の作成が当初の計画よりも遅れており、シンチレーティングファイバー画像検出器からの読み出し系電子回路の購入が遅れているため。 (使用計画) シンチレーティングファイバー画像検出器からの読み出し回路の購入及びファイバーとの接合部を含めた固定用フレームの発注のために支出する。
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