2015 Fiscal Year Research-status Report
磁性ビーズを用いたアセトアミノフェンの鎮痛機序の解明
Project/Area Number |
15K20037
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
清澤 研吉 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (50624772)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アセトアミノフェン / 磁性ビーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
アセトアミノフェンの非活性化部位と思われる考えられる部位にアミノ基を結合させた化合物(Acet-1)を合成し、この化合物にアセチル基をアミド結合させた化合物(Acet-2)の合成を行った。リガンド(Acet-1、AM404-1)に磁性ビーズを固定化しアセトアミノフェンと細胞タンパクとのアフィニティ精製に用いた。 アセトアミノフェン合成物の鎮痛作用を確認するためラットの行動実験を行った。アセトアミノフェン、Acet-1、Acet-2、生食の4群に分け、それぞれの薬剤を投与したのち、ラットの足底にホルマリンを皮下注射し、急性痛と炎症性疼痛の評価を行った。結果、アセトアミノフェンとアセトアミノフェン合成物は同等の鎮痛効果があることが確認された。 HeLa細胞を用いて細胞破砕を行い細胞破砕液を作成し、リガンド固定化ビーズ(Acet-1)を混合し結合反応を行った。結合反応後、混合液の磁性分離を行いバッファーにより塩を溶出、加熱処理により熱溶出を行なった。溶出したサンプルを電気泳動し再現性のあるバンドを確認できた。抽出されたタンパクの中からより特異的にリガンドと結合しているタンパクを絞り込むためにリガンドによる競合阻害、競合溶出実験を行い、数種のタンパクが候補タンパクとして得られた。これらのバンドを切り出し質量分析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アセトアミノフェン合成物の生成、ラッとを用いた行動実験による合成物の鎮痛効果の確認、およびHeLa細胞を用いて磁性ビーズを用いた標的タンパク質の精製を行った。タンパク質の精製段階においてリガンド固定化量や結合反応時間などのタンパク質を精製するまでに予定より時間がかかったが、今後は計画に沿い候補タンパクの分析を行っていく段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
候補タンパクの質量分析を行い、鎮痛に関与する標的タンパクの検索を行う。標的タンパクに対し、阻害薬投与によるアセトアミノフェンの鎮痛効果の評価を行う。タンパクの阻害薬が存在しない場合はノックアウトマウスもしくはノックダウンマウスを作成し標的タンパクの発現を阻害してアセトアミノフェンの薬効評価を行う。 研究計画が予定通り進まない場合は、in vitroでのみ標的タンパクの精製を行い、そのタンパクに対するin vivoの阻害実験を行い標的タンパクの鎮痛効果への関与を解析することで、アセトアミノフェンの鎮痛機序の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
所属研究室の既存の道具が使用可能であったことで予定より物品費が減少したことや、国際学会での発表を予定していたが進展状況も相まり学会発表に至らなかったことにより旅費が減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後候補タンパクの同定を行ったのち、標的タンパクの阻害実験を行う予定だが、阻害薬がない場合にはノックアウトマウスまたはノックダウンマウスの作成も検討しており、H28年度分と合わせ使用していく。
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