2017 Fiscal Year Research-status Report
磁性ビーズを用いたアセトアミノフェンの鎮痛機序の解明
Project/Area Number |
15K20037
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
清澤 研吉 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (50624772)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アセトアミノフェン / 磁性ビーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
アセトアミノフェンは副作用が少なく、周術期のみならず緩和、ペインクリニックなど様々な場面で使用されているにもかかわらず、その作用機序についてはいまだ明らかとなっていない。そこで機能性ナノ磁性微粒子を用いた薬剤標的タンパクを網羅的の探索をきっかけにアセトアミノフェンの鎮痛メカニズムおよび新規鎮痛薬開発を目指した. アセトアミノフェン合成物とHela細胞を用いた細胞破砕液を混合し結合反応後,磁性分離によりタンパクを抽出し,得られた複数のタンパクを絞り込み,アセトアミノフェンと結合するタンパクの同定に成功した.得られた標的タンパクは体温の恒常性に関与する可能性が追加で判明したため,標的タンパクに対する阻害薬投与実験として,アセトアミノフェンの解熱効果と鎮痛効果のそれぞれの評価を行なった.鎮痛効果を確認するためラットの足底を切開した手術後痛モデルと,解熱効果を確認するためイースト発熱モデルを作成した.アセトアミノフェン単独投与と,標的タンパクの阻害薬をアセトアミノフェンと同時投与するものと、溶媒のみ投与の対照群で,直腸温測定により薬剤投与の閾値変化に対する評価を行なった。アセトアミノフェン単独投与では対照群と比べ体温の低下がみられたが,標的タンパク阻害薬を同時に投与した群は対照群に比べ体温の低下はみられなかった.手術後鎮痛モデルを用いた鎮痛効果の確認を行い,結果をまとめているところである.また,同時にアセトアミノフェンと標的タンパクの結合部位での立体構造解析もおこなったが構造解析から阻害作用の解明にはいたらなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究当初はアセトアミノフェンが結合するタンパクの作用として鎮痛に関与するものを想定していたが,得られた標的タンパクは解熱にも関係している可能性があることがわかり,発熱モデルの作成を行なったが,安定した発熱モデル作成ができるまでにやや時間を要した。また立体構造解析も行ったが阻害作用の解明には至らなかった.
|
Strategy for Future Research Activity |
手術後痛モデルを用いた鎮痛効果の確認とデータの解析を行い論文作製を目指すと同時に立体構造解析による阻害作用の解明についての検討を行う.
|
Causes of Carryover |
標的タンパク阻害実験において阻害薬がない場合にノックアウトマウスおよびノックダウンマウスを使用する予定であったこと,新薬の開発を計画していたが実験がそこまで到達しなかったこと,当初見込んだよりも物品費が節約できたことや,国際学会での発表を予定していたが進展状況も相まり学会発表に至らなかったので予定した旅費が減少したため. 次年度使用額は手術後鎮痛モデルを用いた検討などを追加で行い1,252,495円を使用する予定である.
|