2016 Fiscal Year Annual Research Report
Regeneration of cochlear hair cell by transplantation of Multilineage-differentiating Stress Enduring (Muse) cell
Project/Area Number |
15K20179
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
新川 智佳子 山形大学, 医学部, 医員 (00571647)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Muse細胞 / 音響暴露 / 感音難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響暴露条件を130dB、3時間に変更することによって蝸牛の障害を中等度に抑えつつ、持続的な感音難聴モデルの作製に成功した。この内耳障害モデルに、障害翌日にマイクロカテーテルを用いてMuse細胞の移植を行った。 移植する細胞数を30,000細胞群と10,000細胞群に分けて検討した。30,000細胞群は移植後12週までに有意な聴力の改善は見られなかった。原因として、投与直後に著明な炎症細胞の浸潤が認められたことから、過剰な移植細胞は免疫拒絶反応を強く惹起したと考えられた。 10,000細胞群では、移植後6週以降12週まで、4kHzと8kHzにおいて, コントロール群(細胞を含まないPBSのみの投与)に比べて、有意に聴力の回復を認めた。しかし、移植後12週の時点でGFP陽性のMuse細胞のコルチ器への生着は観察されなかった。そこで聴力改善の誘因として、Muse細胞の内耳保護効果を検討するために、移植後12週の時点で外有毛細胞の消失率を検討した。8kHzの担当周波数領域において、Muse細胞10,000群ではコントロールに比べ有意に外有毛細胞の消失率が低いことが判明した。また、2,4,16,32kHz担当周波数領域においても、Muse細胞10,000群では外有毛細胞の消失率が低い傾向をしめした。また、移植後12週の時点でのらせん神経節細胞の密度を検討したところ、Muse細胞10,000群とコントロールでは差は認められなかった。以上の結果は、内耳障害直後の蝸牛において、Muse細胞は外有毛細胞の脱落を防ぐ保護効果がある可能性が示唆された。今後、Muse細胞移植後の蝸牛における内耳保護因子の上昇が認められるかについて検討する計画である。
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