2015 Fiscal Year Research-status Report
歯髄炎の病態形成における象牙芽細胞の細菌由来因子に対する自然免疫機構の解明
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15K20406
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武川 大輔 徳島大学, 大学病院, 助教 (10632664)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯髄炎 / 自然免疫 / インターフェロンγ / KN-3 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,可能な限り生活歯髄を保存しようとする機運が高まってきており、どのような歯髄の状態なら歯髄保存が可能なのかを正確に知ることは非常に重要な課題である。また、臨床所見に頼らない定量的、定性的な歯髄炎の病態把握が可能になれば、新たな歯髄保存治療の開発にもつながると考えられる。 本研究は、免疫系に対して調節作用を有する因子の一つであるインターフェロンγ(IFN-γ)に着目し、ラット象牙芽細胞様細胞(KN-3 細胞)を用いて歯髄最外層に存在する象牙芽細胞におけるIFN-γの役割を解明することを目的としている。 本年度の研究では、KN-3 細胞の自然免疫応答に対するIFN-γの影響を検討するため、KN-3 細胞に対しIFN-γおよびPRRsリガンドを一定時間作用させ、培養上清中のIL-6およびCXCL10濃度をELISA法にて測定し、以下のような結果を得た。 (1) IFN-γで刺激した KN-3 細胞においてCXCL10の産生が認められ、その産生量は濃度依存的に増加した。(2)TLRリガンドのみで刺激した KN-3 細胞においてCXCL10の産生はあまり認められず、IFN-γと共刺激させることでも産生量に変化は見られなかった。(3)NODリガンドのみで刺激した KN-3 細胞においてCXCL10の産生はあまり認められなかったが、IFN-γとiE-DAPを共刺激させることでCXCL10の産生量がIFN-γ単独刺激に比べてやや増加した。(4)IL-6については、IFN-γ単独刺激によって産生は認められず、PRRsリガンドとIFN-γを共刺激した場合も特に産生量の増加は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TLRリガンドのみで刺激した KN-3 細胞においてCXCL10の産生はあまり認められず、IFN-γと共刺激させることでも産生量に変化は見られなかった点、IFN-γ単独刺激によってIL-6 の産生は認められず、PRRsリガンドとIFN-γを共刺激した場合も特に産生量の増加は認められなかった点など、使用している細胞の反応性が乏しく予想した結果が得られなかった実験もあったが、研究の手技自体は予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IFN-γにより強く誘導され、生体内の免疫調節に関与すると言われるIndoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)に着目し、KN-3 細胞におけるIFN-γとIDO発現との関連性について検討を行う予定である。 またCXCL3など、ほかの炎症関連メディエーターとIFN-γとの関連についても検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究成果を学会で発表する予定であったが、日程の関係で翌年度となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、細胞培養系の実験で必要となる抗体やアッセイキット等の実験試薬を購入する。また、サンプルを冷凍保存するフリーザー等も必要となるため、購入を予定している。研究成果の公表手段となる学会発表等の経費としても使用予定である。
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Research Products
(4 results)