2016 Fiscal Year Research-status Report
骨梁構造の力学的特性の個体差を考慮した「骨質反映型インプラント実習用模型」の開発
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15K20487
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
木下 英明 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30637749)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インプラント / シミュレーター / 有限要素解析 / 個体差 / 偶発症 / 顎骨内部構造 / 骨梁 / 実習用模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、マイクロCT撮影および模型上での反力の測定によってデータベースの構築を行った。解剖学講座所蔵の実習用遺体のマイクロCTデータを用いて海綿骨構造の解析および計算上でのドリリング時の反力値を求めた。完全無歯顎、遊離端欠損、臼歯部における中間欠損の顎骨を選出し、下顎管を含んだ下顎臼歯部を対象とした。またインプラント実習用模型をマイクロCTにて撮影を行い、実習用遺体と同じ手順にて内部構造の観察を行った。 次にインプラントシミュレーターの仕様に関しては、東京歯科大学の口腔インプラント学講座の講義実習において当該年度も実習を行った。学習者はドリリング時の個体差や個体内分布、さらには舌側皮質骨穿孔や下顎管穿孔などの偶発症発生時の力覚の異変に気付くことが可能になり、擬似体験による経験値を蓄積することができたと考える。平成28年度は第4学年の口腔インプラント学の実習において学生140名を対象とした実習を行った。模型上で計測したの反力データベースの値をシミュレーターに適用し、実際の模型とシミュレータとの違いを比較検討した。 個体差に起因する骨質の違いと、同一個体内での海綿骨領域における骨梁構造の分布を反映させるために、海綿骨領域の個体差のデータが豊富な腰椎骨および大腿骨の確率的解析モデルにおける確率変数を下顎骨の海綿骨に適用して力学的特性の確率的予測を行った。KellerおよびKeyakらの報告を元に骨密度とヤング率の関係性を下顎骨のミクロ構造モデルに適用して海綿骨領域の力学的特性のばらつきを予測し、得られた確率的予測を力覚データベースに当てはめることで個体差に起因する骨質の違いの反映を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでマイクロCT撮影および模型上での反力の測定によってデータベースの構築を行っているが、データベースの母数は順調に増加している。完全無歯顎、遊離端欠損、臼歯部における中間欠損の顎骨を選出し、下顎管を含んだ下顎臼歯部を対象とした。同時に多数の製造会社から販売されているインプラント実習用模型をマイクロCTにて撮影を行い、実習用遺体と同じ手順にて内部構造の観察を行った。 インプラントシミュレーターの仕様に関しては、東京歯科大学の口腔インプラント学講座の講義実習において当該年度も実習を行うことで複数年度のデータの比較を行うことが可能となった。最終年度も引き続きデータの蓄積を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては引き続き東京歯科大学解剖学講座所蔵の実習用遺体のマイクロCTデータを用いてFEモデルを作製したモデル上での計測を継続してデータベースを補完しながら、これまで計測してきたデータベースを用いて3Dプリンターにて作製した模型に反映させることを試みる。インプラントシミュレーターに関しても平成29年度の第4学年を対象としたシミュレーション実習を帰属させる。また、インプラントの上部構造としての材料の特性が荷重伝達経路に及ぼす影響についても併せて検討していく。
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Causes of Carryover |
論文および学会発表用の抄録の翻訳が年度を跨いだため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英語論文校閲および研究成果投稿料に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)