2015 Fiscal Year Research-status Report
ヌクレオソーム配置を介した遺伝子発現制御機構の解明:ゲノム高次構造と遺伝子共発現
Project/Area Number |
15K20863
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 裕一 東北大学, 情報科学研究科, 産学官連携研究員 (40747599)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子共発現 / 遺伝子共発現ネットワーク / 共発現データベース / 遺伝子発現制御 / ヌクレオソーム / MNase-Seq / RNA-Seq / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、モデル植物シロイヌナズナを対象に、ゲノムにおける様々な特徴の類似性を利用して、遺伝子発現パターンが似ている遺伝子群(共発現遺伝子)を推定するバイオインフォマティクス的手法を開発することを目標としている。特に、ゲノム高次構造が遺伝子発現に及ぼす影響を明らかにするために、多様な組織における網羅的なヌクレオソーム配置解析を実施する。
平成27年度は、次世代シークエンサーを用いたヌクレオソーム配置決定手法であるMNase-Seq法に必要な核酸サンプルを取得するために、シロイヌナズナの各組織(葉、茎、花、根、種子)からのゲノムDNAの調製およびMicrococcal Nuclease(MNase)処理実験を実施した。また、RNA-Seq法による遺伝子発現定量に必要なTotal RNAの抽出を行った。
これらの実験と並行して、ヌクレオソーム配置解析が進んでいるヒトのMNase-Seqデータを公共データベースから取得し、データ解析手法の検討を行った。COXPRESdb(http://coxpresdb.jp)が提供しているヒトの遺伝子共発現データとの比較解析の結果、タンパク質コード領域におけるヌクレオソーム密度を特徴量として用いることで、共発現遺伝子を効率よく推定できることを見出した。また、遺伝子共発現に寄与するゲノムの一次配列上の特徴を探索したところ、コドン使用頻度の類似性が重要であることを見出した。結果は、高等植物の遺伝子共発現データベースATTED-II(http://atted.jp)および微細藻類の遺伝子共発現データベースALCOdb(http://alcodb.jp)の一部として公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象としていたシロイヌナズナの組織の一部(根および種子)では、植物体からゲノムDNAを抽出する際の効率が極めて低く、ヌクレオソーム配置を決定するために十分な量のゲノムDNAを調製できなかった。このため、進捗に若干の遅れが生じている。現在、追加でシロイヌナズナの育生を実施しており、植物体の準備が整い次第、核酸サンプルを調製する。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトのMNase-Seqデータと遺伝子共発現データの比較解析を通じて、本研究課題で必要となるデータ解析のパイプラインは概ね完成した。平成28年度は、不足しているシロイヌナズナの核酸サンプルの調製を速やかに遂行し、各種次世代シークエンサー解析(MNase-SeqおよびRNA-Seq)に供する。NGSデータを取得し次第、ATTED-IIが提供しているシロイヌナズナの遺伝子共発現データとの比較解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初は平成27年度に次世代シークエンサーによる大規模解析を計画しており、その経費として交付決定額の大半を支払い請求していた。しかし、次世代シークエンサー解析に供するゲノムDNAサンプルの調製に遅れが生じたため、次世代シークエンサー解析は次年度(平成28年度)に持ち越すことにした。このため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シークエンサー解析を実施するための経費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)