2015 Fiscal Year Research-status Report
3MST knock out マウスを用いた血圧調整機序の解明
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15K21252
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
戸塚 裕一 琉球大学, 医学部附属病院, その他 (30747704)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 硫化水素 / 3MST / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化水素合成酵素の1つである3MSTに関する研究を行った。 3MSTノックアウトマウス(KO)を使用し、生理学的、生化学的、薬理学的な手法を用いてその表現型の解明に取り組み、硫化水素の生体への影響に関する研究を展開した。 具体的には以下に記す実験結果が得られた。 1、ワイルドタイプ(WT)に比して高血圧であることが示された。2、尿中カテコラミン値に有意差は見られず、Heart rate variability(HRV)の測定結果により、KOマウスの交感神経系の活性化は見られなかった。むしろ副交感神経系の亢進が見られ、高血圧やその他因子より、二次性に副交感神経系が亢進している可能性が示唆された。3、尿中電解質濃度に有意な変化はなく、レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系に有意な変化は認めなかった。また、随時血糖測定や糖負荷試験により糖尿病の関連は低いと考えらえた。4、過酸化脂質である尿中8-イソプロスタンが有意に高く、酸化ストレスの亢進が示唆された。その他酸化ストレスに関する項目も測定予定である。5、プロスタサイクリンの産生低下を認めた。6、in vivo実験にて末梢血管抵抗の上昇を認めた。 以上より酸化ストレス、血管内皮機能に関する項目に絞って研究を進める事で研究の進展が見込めると考えている。特に密接に作用し合う一酸化窒素(NO)との関連性も興味深いテーマであり、その方向へ発展させていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験に多少の変更があったが、一定の成果が得られており順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックアウトマウスの表現型の確認を遺伝子レベルで行う必要がある。また、実際にH2Sを測定し低下していることを確認しなければならないが、その正確な測定に時間がかかっている。 次世代シークエンサーによるRNA seqを行い、mRNA発現量の定量解析を予定している。また、病理組織学的な検査を今後予定している。
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Causes of Carryover |
DSIテレメトリー送信機器の丁寧な取扱いにより送信機器再生回数が減少し、当初予定していたより大幅にコストを抑えることが可能であった。また、学会参加や論文作成に助成金を使用することを予定していたが、研究成果の公表を次年度に計画した。一方で実験の進展により、試薬代などの消耗品に費やす金額が増加した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験計画発案当初予定していなかった、次世代シークエンサーなど遺伝子学的な解析が必要となり、当該年度に使用しなかった助成金をその費用に用いる予定である。
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