2015 Fiscal Year Research-status Report
作品解釈と作者の意図に関する分析美学的研究―戦後日本の前衛美術を中心に―
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15K21376
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| Research Institution | Seijo University |
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Principal Investigator |
河合 大介 成城大学, 文芸学部, 非常勤講師 (10625495)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 分析美学 / 美術史 / 戦後美術 / 前衛美術 / 意図主義 / 匿名性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
初年度の2016年度は、本研究の基礎を固めるために、必要な情報の収集と問題点の洗い出しを中心に進めた。本研究課題は、１．作者の意図をめぐる美学的課題と、２．戦後日本美術の独自性としての〈匿名性〉というふたつの柱からなる。
前者については、分析美学の分野におけるこれまでの議論の全体像を把握することと、哲学分野における意図にかかわる議論についての調査をおこなった。美学的問題については、これまでの研究活動に引き続いて、意図をめぐる議論の主要な論文の読解と議論の整理をすすめている。哲学分野における問題については、哲学研究者を招いてシンポジウムを開くなどして、専門家の意見を求めた。特に哲学研究者との議論でえられた知見は、意図の概念やその芸術分野における特殊性であり、この概念を芸術との関係においてより詳細に分析するという次年度以降の課題を浮かび上がらせることができた。
戦後美術の研究に関しては、資料の所在調査と、〈匿名性〉に関する研究をすすめた。資料の所在調査は、主に九州地方に在住する存命作家や、戦後美術について研究している学芸員に協力を仰いだ。特に戦後大分に存在した美術家グループ「新世紀群」と、福岡の九州派に関する資料については一定の目処がたったので、次年度以降に本格的な調査に入る予定である。また、赤瀬川原平の芸術活動における〈匿名性〉の問題について、前年度に東京文化財研究所でおこなった研究発表をもとにした論文を刊行した。この研究によって、匿名性が当時の作家たちに広く共有された関心だったことが明確になり、次年度以降は、赤瀬川のみならず、周辺の作家についても研究を進めていく。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
美学的問題については、当初の予定通り、関連文献の精読を進めるとともに、哲学研究者に意見を求めたことで、解決すべき課題をある程度明確にすることができた。また、美術資料の収集については、初年度に予定していた首都圏での調査を一部次年度に持ち越したが、他方で九州での調査のための準備を十分におこなうことができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初の計画にしたがって、美術資料の収集と調査を中心にすすめる。公的機関で複写可能な資料については、アシスタントによる収集と整理をおこなう。研究代表者は、美術館等が所蔵している資料の調査にあたる。すでに一定の調査をすすめている九州地方の資料の本格的な調査にくわえて、赤瀬川原平旧蔵資料の調査を中心にすすめる。赤瀬川原平旧蔵資料に関しては、現在その管理にあたっているギャラリーとの交渉をすすめる必要があるが、千葉市美術館学芸員に協力を依頼する予定である。また、存命作家への聞き取り調査として、国内で和泉達氏に、ニューヨークで篠原有司男氏にインタビューをおこなう。両者とも研究代表者とすでに面識があるため、準備に関しては問題ないと考えている。和泉氏には所蔵資料の調査も依頼する。これら収集資料の調査と分析の成果は、すでに予定されている東京文化財研究所での研究発表などを通じて発表していく。
美学的問題については、今現在も新しい論文が発表され続けているため、それらをフォローしつつ、初年度のシンポジウムを通じて明らかになった問題を検討していく予定だが、その際には、戦後美術に関する調査・研究の成果を反映させながらすすめていくことになる。
これら美学的・美術史的研究を統合し、最終年度に国際シンポジウムを開くことで、その成果を公開し、検討する機会とする予定である。
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| Causes of Carryover |
アシスタントによる資料収集を予定していたが、本年度は未着手だったため、その人件費分の一部として次年度使用額が生じた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、資料収集が計画の中心となるため、人件費が大幅な割合を占めることが予想される。次年度使用額は、当初の助成金とあわせてそれに充てられる予定である。
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Research Products
(1 results)
