2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21377
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
押山 美知子 専修大学, 文学部, 助教 (90398719)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マンガ研究 / ジェンダー表象 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は六〇年代から七〇年代の作品の収集、調査を行った。国会図書館所蔵の少女マンガ誌12誌(講談社:「なかよし」「少女フレンド」「別冊フレンド」、小学館「ちゃお」「少女コミック」「別冊少女コミック」、集英社:「りぼん」「週刊マーガレット」「別冊マーガレット」、白泉社「花とゆめ」「LaLa」、秋田書店:「ひとみ」)にあたり、主人公の少女がスポーツを行う454作品(ここで言う「スポーツ」とは、五輪種目に該当する競技を中心に、剣道や薙刀等の武道、プロレスやローラーゲーム等のプロスポーツを含む。また、少女がスポーツを行う描写を研究対象としたことから、マネージャー等の裏方、もしくは指導的立場に位置づけられるものは除外した)について、10項目(1.連載年月、2.掲載誌名、3作者名、4.スポーツ種目名、5.主人公の年齢・性格、6.容姿造形の特徴、7.身体的特徴、8.運動能力及び必殺技の内容、9.家族・ライバル・恋人の有無及びその内容、10.読者の反応)のリストを作成し、年代ごとの傾向について考察を進めた。 最もよく描かれたスポーツは、1.テニス(52作)、2.バレー(47作)、3.陸上(45作)、4.水泳(37作)である。1969年に51作、1970年に73作が描かれ最盛期を迎えるが、父性的な指導者に導かれ、異性と距離を置き、スポーツに全身全霊を捧げて様々な困難を乗り越え、勝利を掴む、スポーツと人生が一体化した少女主人公像は、読者にとって憧憬の対象となり、現実のスポーツへの参入を促す契機ともなり、編集部側も積極的にその流れを後押しした。少女の身体表象としては、バレーやバスケットの選手でも背が高いといった競技に有利な身体描写はほとんど見られず、平均的な身体描写に留まるが、長期連載作品の中には丸みを帯びた女性的な身体描写からアスリートとしての身体描写への移行が見受けられるものがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象となったマンガ作品の数が予想を上回り、マンガの調査の方に時間がかかったことから、一般週刊誌の調査が遅れてしまった。時期によってはアルバイトの数が不足していたことも、調査が遅れた一因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では遅れている一般週刊誌の調査を集中的に進め、それが終わり次第、残る八〇年代のマンガ作品の調査に着手する予定である。経験者を中心にアルバイトを確保するように努め、人員が不足することのないように新たな募集も行いたい。 また、研究成果報告のための準備を調査と同時進行で進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
国会図書館での資料複写代の領収書を紛失してしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国会図書館等での資料複写代として使用する予定。
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