2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K21377
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
押山 美知子 専修大学, 文学部, 助教 (90398719)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マンガ研究 / ジェンダー表象 / スポーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は先ず未着手だった六〇~七〇年代(1967-1979)の一般週刊誌の調査を行った。「週刊新潮」「週刊文春」「週刊現代」の3誌に絞って女子スポーツ選手を扱った記事(六〇年代73本・七〇年代127本)にあたり、内容分析を行った。特徴としては、試合内容やプレイスタイル以上に性格及びコーチやチームメイト、親兄弟や恋人との人間関係といったプライベートに焦点を当てる傾向が強く、容姿や体型(身長・体重)について多く言及され、「美しい」「かわい子ちゃん」「色気がある」という観点から評価されていた。しばしばグラビア頁に全身像が掲載され、中には身体部位を強調し、性的な身体性を押し出すものも見られた(「週刊文春」17巻17号[1975年4月]p10-11「女子プロテニス大会」等)。また、「東洋の魔女」以降、世界的に活躍する女子選手は「女はますます強くなりました」(「週刊新潮」12巻32号[1967年8月]p21)というように「強い」ことが揶揄の対象となる傾向が見られる点から、女子選手が華々しい成績を残すことは必ずしも全面的に肯定され、評価されることではなかったと捉えられた。読者及び記事を作成する側が男性中心であったことを踏まえれば、当時の一般週刊誌においては、女性が男性領域とされてきたスポーツの世界で活躍し、強くなることはどちらかと言えば嫌悪され、女子選手を性的対象と見なし“女”として一般化することで、男性の優位性を保持する嫌いがあったと考えられる。 2016年度後半は、八〇年代のスポーツ少女マンガの調査に着手した。六〇~七〇年代同様、国会図書館所蔵の少女マンガ誌10誌にあたり、現在2誌は調査中である。現時点の特徴として、七〇年代後半に見られたアスリートとしての強い女子選手をリアリティをもって描く傾向が薄れ、スポーツの重要度が下がり、異性との恋愛関係に比重が置かれる点が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
六〇~七〇年代のスポーツ少女マンガの作品数が想定を上回ったための調査の遅れが響き、八〇年代の作品調査が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
八〇年代のスポーツ少女マンガの調査を終えることを第一に進め、その後、八〇年代の一般週刊誌調査と研究成果報告の論文執筆を同時並行的に行っていく。
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Research Products
(1 results)