2017 Fiscal Year Research-status Report
都市計画領域における事前手続と事後手続との一体的把握に向けた日英の法学的研究
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15K21483
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
洞澤 秀雄 南山大学, 法学部, 准教授 (60382462)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 行政手続 / 争訟手続 / 都市計画 / 行政計画 / 協議会 / 公私協働 / イギリス法 / 環境法 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年度目である2017年度には、これまでの事前手続と事後手続に関する文献調査に基づく論文を公刊した。まず個別分野として、海における計画に関して、洞澤秀雄「海の管理における海洋空間計画―イギリスの海洋計画制度を参照して―」南山法学40巻3・4号(2017年7月)1~38頁を公刊した。本論文は海の管理に係る計画的対応について主として検討したものであるが、イギリス法との比較を通じて、海洋空間計画の多段階的な事前手続やそこでの利害調整について詳細に論じ、事後手続での法的統制の制約についても言及した。 次に、洞澤秀雄「協議会に関する法的考察―公私協働、行政計画の視点から―(1)」南山法学41巻2号(2018年2月)1~52頁、洞澤秀雄「協議会に関する法的考察―公私協働、行政計画の視点から―(2・完)」南山法学41巻3・4号(2018年公刊予定)において、法定の協議会という、主として行政計画の事前手続とともに、計画の実施という策定後の手続にも関わる制度について詳細にわたる検討を行った。また、協議会に係る手続の法的統制についても考察した。協議会は、事前手続と事後手続の結節点において、近年、法定化が目立ち、計画手続を考える際に重要であると考え、協議会に係る論文を執筆した。 また、判例評釈ではあるが、道路に係る事前の承諾手続と事後の裁判所の統制といった論点に係る事件について評釈を執筆した。洞澤秀雄「建築基準法42条1項5号による道路位置指定の取消処分(廃道処分)と権利者の同意」自治研究(2018年掲載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本及びイギリスの文献調査とその読込み、イギリスにおける調査等、当初の計画通り、順調に進展している。 事前手続と事後手続との連関、及び両者の一体的把握に関して、個別・具体的な分野に関する考察として、2016年度に都市計画、2017年度に海洋空間を題材に検討した各論文を公刊した。そして、個別分野に限られないより一般的な議論として、事前手続と事後手続の結節点として機能しうる「協議会」について、包括的な検討を行う論文を執筆した。 イギリスにおいて行った調査との関連では、前者の個別・具体的な検討を行った2本の論文においては、イギリス法との比較研究を行った。しかし、後者の一般論に係る論文においては、イギリス法の知見を踏まえた検討を行っていない。最終年度である2018年度における研究において、イギリス調査結果をより一層利用して研究成果を公刊する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2018年度は、これまでの文献調査及びイギリス調査等に基づき、論文の執筆作業を行う。 事前手続と事後手続における中心的争点として考えていた都市計画争訟については、これまでの研究成果において十分に考察をすることができていないため、都市計画争訟に係る事前の計画策定手続と事後の争訟手続(特に裁判所による救済)の連関や役割分担について検討を行う。但し、これまでの研究において都市計画以外の計画制度をも含めた考察を行ってきたころから、行政計画一般をも念頭に置いて、事前・事後手続に係る考察も行う予定である。 イギリス調査等の研究成果として、環境法に係る事前・事後手続についても論文を執筆中である。環境影響評価、Brexitと事前・事後手続などの検討を通じて、事前手続とそれに対する事後的な争訟手続に係る課題や法の展開について検討する予定である。
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