2015 Fiscal Year Research-status Report
生演奏場面における演奏者と鑑賞者の同調現象:心理,行動,生理指標の時系列分析
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15K21492
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
正田 悠 同志社大学, 文化情報学部, 日本学術振興会特別研究員PD (00724361)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生演奏 / 演奏科学 / 関数データ解析 / 時系列分析 / 感情 / 身体運動 / 心拍 / 複雑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
西洋芸術では音楽は「作曲者」,「演奏者」,「鑑賞者」の3者のコミュニケーションによって成立する。本研究では,音楽の時々刻々と変化する性質に注目し,生演奏場面において演奏者と鑑賞者に関わる種々の時系列的指標(心理,行動,生理指標)を測定することで,「演奏者」と「鑑賞者」の間でいかなる同調が認められるかを明らかにする。 今年度は,「パフォーマーとオーディエンスがともに会する」という視点から,音楽演奏,舞踊,演劇について,心理学,情報学,美学,音楽学等から広く文献を収集した。さらに,ピアニストあるいはヴァイオリニストと複数名の鑑賞者が同時に会する「生演奏」場面に注目した実験研究について,特にその時系列性に注目したデータ分析,学会発表,および論文の執筆を行った。特に,音楽演奏の鑑賞時に時々刻々と変化する印象の変化をタブレット端末を用いて計測し,関数データ解析(Ramsay & Silverman, 2005)によってその時系列特徴量を抽出できたことは今年度の最大の成果と言えよう(論文投稿準備中)。 また,演奏中の心電図計測から抽出した演奏者の心拍時系列の複雑性が鑑賞者の存在と楽曲の難易度の影響を受け,易しい課題の場合は鑑賞者の存在によって心拍時系列の複雑性が上昇するのに対し,難しい課題の場合は鑑賞者の存在によって複雑性が低下することが示された。今年度は鑑賞者と演奏者のそれぞれについて分析を行ったが,今後は鑑賞者と演奏者の相互作用の分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
データ分析を終了し、研究課題に関連する成果の公表も開始している。さらに本研究課題に関連して2つの学会賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
演奏者と鑑賞者の各々の分析をさらに進めるとともに,両者の相互作用の分析も進める。その統計的手法も含めさらなる知見を収集する。成果を複数の投稿論文としてまとめ,掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定されていた論文の出版に遅れが生じ、年度内に論文掲載料の支払いができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定されていた論文の出版の目処が立ったため、論文掲載料として計上する。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] 音楽の生演奏を科学する2015
Author(s)
正田悠
Organizer
社会・技術の変容とアートの役割研究会
Place of Presentation
大阪大学(大阪府豊中市)
Year and Date
2015-06-27 – 2015-06-27
Invited
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