2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K21499
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
森 類臣 大谷大学, 文学部, 助教 (60635093)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 音楽 / 芸術 / 金正日時代 / 金正恩時代 / 楽団 / 朝鮮民主主義人民共和国 / 音楽政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の主たる課題は、2016年度までの分析結果のもとに朝鮮民主主義人民共和国の音楽政策を説明するモデルを構築することであった。具体的には次のように作業を進行させた。 1.同国の音楽政策の基本枠が整備された金正日時代について分析した。まず、2016年度に続き金正日時代の音楽政策の分析を進めた。金正日総書記の音楽観について整理することは2016年度に一定程度行ったが、一次資料(著作集など)の検討を元にその作業をさらに進めた。次に、金正日時代の主要楽団である万寿台芸術団・ピバダ歌劇団・普天堡電子楽団・旺載山軽音楽団(芸術団)などを事例研究した。それぞれの楽団の創立過程・目的・活動を把握し、金正日時代の音楽政策のモデルを構築する作業を進めた。 2.金正恩時代の音楽事情について、その現状を社会政策や文化政策に位置づける作業を行った。特に、金正恩時代の政策上のキーワードである「並進路線」「社会主義文明国」「自強力第一主義」などと音楽政策の関連性を把握することに努めた。その上で、金正日時代における音楽政策との連続性を考察するという作業を進めた。 3.上記の研究成果については、次のようにアウトプットした。森類臣(2017)「金正恩時代の『音楽政治』に関する考察 ―始動・定式化・展開―」(口頭発表、研究フォーラム・北東アジア学会関西地域研究会「朝鮮半島をめぐる国際関係」、於立命館大学)、森類臣(2017)「金正恩時代の「音楽政治」―新楽団創設と回顧音楽会の持つ意味―」(口頭発表、現代韓国朝鮮学会第18回研究大会シンポジウム「北朝鮮文化研究の最前線」、於大東文化大学)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「朝鮮民主主義人民共和国の音楽政策を説明するモデルを構築する」という2017年度の主たる課題については、75パーセント程度達成できたといえよう。しかし、予定の目標を完全に達成することはできず不足感も残った。理由は、一次資料が膨大で分析に多くの時間がかかったことと、ケーススタディーの作業量(検討材料)が多く、効率性と効果性を考慮しながら試行錯誤して進めたことである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は次のようである。 (1)金正日時代の音楽政策について、ケーススタディーを進めながら特徴を見直し、モデルの精緻化をはかる。(2)金正日時代の音楽政策と金正恩時代の音楽政策の共通部分と差異について、整理・導出→分析→考察というプロセスを重ねる。(3)金正恩時代の音楽政策について、構築したモデルによって分析しその有効性をはかる。(4)考察結果については、所属学会または国際学術会議等で発表し、それを精緻化した上で論文にまとめて学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
今年度使用額についてはほぼ全額使用できた。
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Research Products
(2 results)