2018 Fiscal Year Annual Research Report
Speculative Translation Theory in the 20th Century France and Germany: Historicity and Criticism of History
Project/Area Number |
15K21557
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西山 達也 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40599916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フランス哲学 / ドイツ哲学 / ハイデガー / ヘルダーリン / レヴィナス / ニーチェ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、翻訳の歴史性および歴史批判機能をめぐる研究の総括をおこなった。総括にあたっては、現代の様々な思弁的翻訳論が展開するうえでの出発点の一つとなったミーメーシス理論の文脈に遡行しつつ、これまでの研究を俯瞰した。その際に、西洋近代においてミーメーシス解釈の特権的な場として「悲劇的なもの」が設定されたという事実に立ち返り、悲劇的なものと歴史の相剋関係を問い直すことが必須の作業として課された。2018年7月に早稲田大学で開催したシンポジウム「実存の悲劇的根底」での提題においては(「悲劇的なものと歴史の媒介機能」)、古代悲劇の近代語への翻訳という作業がどのような仕方で歴史性を孕むのか、また逆に、悲劇翻訳はみずからの有する歴史性に対して、いかなる批判的機能を作動させうるのかを検証した。この成果は、雑誌論文として発表された(「ヘルダーリンの「ソフォクレース註解」における悲劇的なものと歴史の理論」『フィロソフィア』106号)。本年度にはまた、10月にストラスブール大学名誉教授ジェラール・ベンスーサン氏の講演会「われら善にして義なる者たち!――ニーチェとレヴィナス」およびそれに続く討論会を開催した。討論会では、ニーチェとレヴィナスにおけるプラトン主義について西山が問題提起をおこない、ニーチェとレヴィナスという二人の哲学者が、ヘレニズムとヘブライズムという二源泉に準拠しつつ、いかなる仕方で目的論的な思弁に抗する歴史哲学を構想したのかを議論した。
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Research Products
(3 results)