2016 Fiscal Year Research-status Report
偏微分方程式の逆問題のインバージョンに関する数学的厳密性と実用可能性の研究
Project/Area Number |
15K21766
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 玄 北海道大学, 名誉教授 (50118535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 尚文 北海道大学, 理学研究院, 教授 (00238817)
笹山 智司 北海道大学, 理学研究院, 学術研究員 (70431301)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | 線形サンプリング法 / 蛍光分子イメージング / インバージョン法 / 空洞同定 / 拡散方程式 / 熱流束 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の交付申請書の研究目的と実施計画として立案した次の2つの項目に対して集中的に研究することを計画した。即ち、(i)熱流束を用いたインピーダンスを持つ未知空洞同定に対する線形サンプリング型インバージョン法の指標関数の漸近挙動の研究、(ii)レーザーによるインパルス的熱流束が励起する熱伝導体表面の温度分布特性の知見獲得に必要な北海道大学蛍光分子イメージング研究グループとの研究協力。 それぞれの研究実績は次の通りである。 (i)については、指標関数の漸近挙動の導出と数値実験を行い、線形サンプリング型インバージョン法によるインピーダンスを持つ未知空洞同定が、極めて有効であるとの知見を得た。また、研究代表者が目指す動的探針法と線形サンプリン型インバージョン法を融合した新しいサンプリン型インバージョン法の樹立にむけて、次の様な数値実験研究を行った。即ち、線形サンプリング型インバージョン法に対して、計測時間を短くした場合、そして短い間隔をおいた2つの短い計測時間区間上での計測データを用いた場合について、インバージョンの有効性を検証し、その有効性を確認した。(ii)については、拡散方程式を用いた蛍光分子イメージングの光吸収率同定問題では、従来ロバン境界条件がインバージョンの一つの障害であった。そこでロバン境界条件をノイマン境界条件で近似するボルン型近似スキームを構築した。このボルン型近似のボルン級数は収束し、その各項は解析的表示を持つ。この結果は、鶏肉の光吸収率実データに対する同定実験データ解析に有効であると期待される。また、モンテカルロメトロポリスヘスティング法の蛍光分子イメージングへの適用についても検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の2つの項目に則して理由をのべる。項目(i)については、指標関数の漸近挙動の導出のみならず、線形サンプリング法の数値実験まで行うことができ、線形サンプリング型インバージョン法によるインピーダンスを持つ未知空洞同定の有効性が検証できた為である。項目(ii)については、研究の進展に伴い当初予定していなかったモンテカルロメトロポリスヘスティング法の蛍光分子イメージングへの適用についても検討できた為である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該研究の研究テーマは、能動的サーモグラフィーとPVSのデータ解析である。平成28年度は能動的サーモグラフィー研究について集中的に研究し、当初計画以上に進展した。まだこの研究は一層の進展が見込まれるので、当面はこの研究を集中的に行って、数学的な厳密性と実用性を備えた能動的サーモグラフィーのインバージョン法として完成させたい。 PVSのデータ解析については、柱状サンプルの曲げ変形による第一ラーメ係数の同定法について研究する。
|
Causes of Carryover |
研究分担者の分担金の執行管理が少し甘かったため、次年度使用額が若干額生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者が現在使用中のパソコンが老朽化しているので、その更新費の一部として使用することを計画している。
|
Research Products
(10 results)