2017 Fiscal Year Research-status Report
東シナ海域の基層文化と人々の生活:日韓境界領域の事例より(国際共同研究強化)
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15KK0047
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
金 明美 静岡大学, 情報学部, 准教授 (50422738)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 東シナ海域 / 基層文化 / 生活文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績として、大きく以下の三点が挙げられる。 一点目は、受け入れ先である主たる外国機関(中国・浙江大学)での研究である。海外共同研究者が所属する研究所(韓国研究所)の研究者たち及び海外の高麗画研究者たちが共同で制作している『高麗画全集』欧米蔵品巻(2018年度に浙江大学出版社から出版予定)の翻訳・校正に携わることで、共同研究に参与したことである。この本は、欧米に所蔵されている高麗仏画を収めたもので、序文のほか全作品ごとの解説が中国語、英語、韓国語、日本語で記されるものである。この翻訳・校正の仕事に携わることで、高麗時代の仏教及び仏画についての学習も行ったが、その過程で東シナ海域の生活文化に関する本研究にとっても大変意味のある情報収集をすることができた。 二点目は、フィールドワークに必要な語学習得に努めると共に、本研究に関わる情報収集を文献研究中心に行いつつ、海外共同研究者と意見を交換したことである。具体的には、東シナ海域の基層文化に生活文化の観点からアプローチする上で重要だと考えられる中国江南文化に関する研究動向や中国でフィールドワークを行う上で必要な知見について学ぶために、関連図書を購入し、文献研究を行った。また、国際会議「東亜命運共同体与中日韓社会和解」(11月)に参加し、日中韓連携に関して情報収集を行った。さらに、京都(2月)で開催された「日本とアジアの魂魄観についての比較思想史的研究」の第三回研究集会に参加し、東シナ海域の「基層文化」を再考する上で、重要であると考えられる庶民次元の宗教観念などについての知見を深めることができた。 三点目は、本研究がベースとしている基盤研究(C)の研究による日韓両国での調査及び発表を並行して行うことで、来年度(2018年度)中国(台州市)で開催される国際会議での研究発表(2018年5月18日を予定)の準備に繋げたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほぼ予定通りに受け入れ先の研究機関で、フィールドワーク実施のための事前準備や文献を中心とした研究活動はできているが、当初予定していたフィールドワークの実施は行っていないためである。その理由としては、中国での生活に慣れるのに当初より時間がかかっていること、また中国でのフィールドワークの実施についてはより慎重に行った方がよいと判断されたこと、さらに通常授業を持っている共同研究者と日程を合わせることや本研究のベースになっている基盤研究(C)の調査に時間や発表等にも時間がとられたためである。よって、本年度は、共同研究者とは別途文献的な共同研究を行いつつ、フィールドの選定をはじめ、関連文献の講読と意見交換を行うことにした。しかし、これについては研究実績で記した通りの結果を残すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度(2018年度)は最終年度にあたるため、フィールドワークの実施を第一目標に、そのための準備も入念に行いたい。ただ、本研究のベースとなっている基盤研究(C)も同じく最終年度にあたっており、そのまとめとなる調査も行う必要があるので、以下のような対策を立てたい。まず、前半期に、なるべく中国国内でのフィールドワークに必要な語学習得とフィールドワークに関する情報収集と事前調整、並びに基盤研究(基盤研究(C))の日韓両国での調査及び調査データのまとめと調整を行う。次に、後半期に浙江省内外の村落でフィールドワークを実施し(但し前半期においても、5月には台州市三門県で開催される国際会議参加の際に、当地にある東シナ海域に面した、かつて済州島からの漂流民が上陸した村落を訪れる予定が入っているように、日程調整や現地訪問の機会が上手く合えばフィールドワークを実施する。中国での現地調査は想像以上に難しいことが分かってきたので、適宜機会を捉えて柔軟に対応していきたい)、研究成果をまとめる。
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Research Products
(1 results)