2018 Fiscal Year Research-status Report
ポーランドの文学、美術、公共空間におけるホロコーストの記憶のジャンル横断的研究(国際共同研究強化)
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15KK0064
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
加藤 有子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (90583170)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | ホロコースト / ユダヤ人虐殺 / ポーランド文学 / 写真 / ゲットー / 記憶 / 第二次世界大戦 / 原爆 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米におけるホロコーストの記憶研究は、「多方向的記憶」(ロスバーグ、2009)として、比較的視野のアプローチに向かっている。2016-2017年のポーランドにおける研究滞在と欧米の研究者との交流、意見交換を経て、日本において、1.最新のポーランドのホロコースト研究の状況を紹介し、2.比較的視野からホロコーストひいては第二次世界大戦を論じる国際シンポジウムを行い、総括するアイディアに至った。 2018年11月17、18日、海外共同研究者4名をポーランドから招聘し、国内研究者4名とともに国際シンポジウム「ポーランドと日本における第二次世界大戦の記憶―ホロコーストと原爆を起点とする比較的アプローチ」を名古屋で一般公開のかたちで開催した。ポーランドの研究者は、ポーランドにおけるユダヤ人虐殺に関する膨大な資料を発掘、調査し、それらをテクスト分析、心理学、社会学、文化人類学、政治学という歴史学とは異なるアプローチから分析する大著を刊行したばかりであり、その最新成果の発表となった。日本では、ポーランドにおけるユダヤ人虐殺をめぐる国内世論や研究状況は、2000年代後半以降は本格的な紹介はなく、その空隙を埋めるかたちとなり、多くの聴衆が集まった。日本の研究者は、ホロコーストを中心に第二次世界大戦の記憶を日本の状況を含めた比較的見地から論じている研究者(哲学、比較文学)と、広島の原爆をめぐる記憶や歴史を調査する研究者である。ロシア・東欧の専門家のみならず、他地域の多領域(文学、歴史、政治学、社会学等)の研究者、学生、一般聴衆が集まり、活発な議論が行われた。東欧のホロコーストや第二次世界大戦の記憶に関する関心は日本でも高く、日本とポーランドの研究者の交流のきっかけになり、今後の共同研究の萌芽が生まれた。 この他、ポーランドにおけるホロコースト研究の査読誌に研究成果の一部を論考として寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者グループを招き、国内の研究者とともに国際シンポジウムを開催し、多くの聴衆を集めることができた。そこから、ポーランドの参加者が主体となって行う次の国際シンポジウムの企画も生まれた。成果はシンポジウムの論集として、ポーランド語と日本語で、それぞれポーランド、日本の出版社から書籍として刊行予定である。複数の論文の翻訳、および校正作業のために時間が必要であり、刊行および課題研究期間終了は2019年度を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度中に、ポーランド語、日本語でそれぞれシンポジウムの発表原稿を元にした書籍を刊行し、まとめとする。ポーランド側研究者とともに、次の共同研究・シンポジウムを話し合っており、期間終了後も協力関係を継続する。また、アメリカ、カナダの研究者とも関係を構築し始めており、来年度以降はポーランド以外の国の研究者とも本格的な共同研究の基盤を作っていく。
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[Book] Bruno Schulz - entre modernisme & modernite2018
Author(s)
Wlodzimierz BOLECKI, Dieter DE BRUYN, Maria DELAPERRIERE, Peter ESTERHAZY, Aleksander FIUT,David GOLDFARB, Jerzy JARZEBSKI, Ariko KATO, Michal Pawel MARKOWSKI, Viera MENIOK, Zaneta NALEWAJK, Joanna PAWELCZYK, Stanislaw ROSIEK, Marc SAGNOL, Jean-Pierre SALGAS, Malgorzata SMORAG-GOLDBERG ほか15人
Total Pages
412
Publisher
Paris: Editions L'improviste
ISBN
978-2-913764-61-3
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