2016 Fiscal Year Research-status Report
通貨から視る西アフリカ地域経済の分断と世界経済への統合:19・20世紀(国際共同研究強化)
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15KK0080
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 仏領西アフリカ / 英領西アフリカ / 通貨 / 商品貨幣 / 植民地通貨 / 地域通貨 / ギネ(インド産綿布) / CFAフラン |
Outline of Annual Research Achievements |
通貨を媒介としながら、「西アフリカ地域経済の分断と世界経済への統合」過程を明らかにすることを通じて,世界経済における当該地域のポジションや他地域との関係性に注目している。具体的には、西アフリカの通貨が「自然貨幣→商品貨幣→植民地通貨→独立後に導入した通貨→地域共通通貨」へと移行する過程で、西アフリカ地域経済が宗主国経済に統合されながら、複数の宗主国によって地域経済が分断されたこと、そして独立後、再び、通貨が地域経済統合の手段へと変容していき、結果的に世界経済へ統合される過程と西アフリカ経済の発展や域内の関係性の変化を明らかにすることに取り組んでいる。 研究実施計画では,平成28年度末に交付申請をし,平成29年度夏からフランスに半年,続いて平成29年度末から平成30年度夏まで英国に半年渡航して共同研究を行うとした。その計画にのっとり,平成28年度は共同研究者との調整や研究環境の事前調査,先方大学に対してVisiting Scholarの申込などを行った。その過程で先方の都合により,英国の共同研究者が変更になったが,変更先にも正式にVisiting Scholarとしての受け入れ通知を発行していただくことができた。 予定通り平成29年1月に交付申請し,3月末に入金されたため,国際共同研究加速基金としての研究実績はまだない。他方で,平成28年度は,同じテーマの基課題(基盤研究C)の終了年であったため,そちらの成果として,書籍分担執筆2本(英文1本,日本語1本),海外ジャーナルへの投稿1本(現在,修正中),海外の大学での発表2本(ボストン大学,サセックス大学),京都大学東南アジア研究所での発表という成果を上げることができた。来年度以降は,共同研究者が企画している類似テーマの国際シンポジウムなどを通じて国際共同研究体制の強化に尽力する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より,平成28年度は共同研究者との事前打ち合わせ,平成28年度末に交付申請を行い,平成29年度9月から渡航を開始する予定であった。平成28年度は,その予定通り,教育・学内業務の調整,共同研究者との事前打ち合わせを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年9月より,予定通り,フランスの大学の共同研究者の下で19世紀に西アフリカで利用されていた商品貨幣ギネ(インド産綿布)および旧仏領西アフリカに由来するCFAフランについて研究し,共同研究者が計画している国際シンポジウムで発表し,他の研究者との共同研究体制強化につとめる。平成30年3月からは英国の共同研究者の下で,英領西アフリカの通貨や貨幣制度形成過程についての研究に着手する。フランス,イギリス滞在中に,イギリス,フランス,そしてアフリカの文書館での資料収集・閲覧を通じて英仏両地域の通貨形成過程,西アフリカの通貨統合の実態,その統合が困難な原因,世界経済の変容やその中での当該地域のポジションの変化を明らかにすることに取り組む。
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