2017 Fiscal Year Research-status Report
通貨から視る西アフリカ地域経済の分断と世界経済への統合:19・20世紀(国際共同研究強化)
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15KK0080
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
正木 響 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (30315527)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | CFAフラン / 植民地銀行 / 仏領西アフリカ / 操作勘定 / 19世紀 / 20世紀 / ギネ(濃紺色綿布) / 植民地フラン |
Outline of Annual Research Achievements |
通貨を媒介としながら、「西アフリカ地域経済の分断と世界経済への統合」過程を明らかにすることを通じて,世界経済における当該地域のポジションや他地域との関係性に注目している。具体的には、西アフリカの通貨が「自然貨幣→商品貨幣→植民地通貨→独立後に導入した通貨→地域共通通貨」へと移行する過程で、西アフリカ地域経済が宗主国経済に統合されながら、複数の宗主国によって地域経済が分断されたこと、そして独立後、再び、通貨が地域経済統合の手段へと変容していき、結果的に世界経済へ統合される過程と西アフリカ経済の発展や域内の経済アクターの関係性が変化する様を明らかにすることに取り組んでいる。 2017年9月からフランスのルーアン・ノルマンディ大学に受け入れていただきながら、パリに滞在し、パリおよび郊外の公文書館で史料収集を行った。次にポルトガル、東京、パリにて計4回、研究報告を兼ねたプレゼンを行い、コメントをいただくことで研究を深化させ、海外の研究者との縁を広げるという方法をとった。特にポルトガル銀行、フランス銀行では、アフリカの金融・銀行関係者の前で発表させていただく機会となり、当該分野の専門家に関心をもっていただけた。また、19世紀にセネガルで通貨として持ち込まれた綿布ギネについては、ルーアン・ノルマンディー大学のMarec教授にさまざまなご指導をいただくことができた。 2018年3月にフランスからケンブリッジ大学に移動し、英領西アフリカの大家であられるGareth Austin教授の下で、アフリカ経済史研究のご指導を仰ぐとともに、さまざまな研究者と研究交流をしながら、フランスで集めた史料の読み込みを行っている。 本研究課題における国際共同研究推進を目的として、これまでに申請者が日本語で出版した論文を、海外の研究者に英語で紹介するための翻訳出版に係る費用にも本科研費を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4回の英語で発表をするとともに、フランスのパリにある公文書館での史料収集を貫徹した。また、ケンブリッジ大学では、ヨーロッパの経済史研究者との活発な交流ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
フランスで集めた史料の読み込みをするとともに、英語での論文投稿に向けて努力する。2018年9月にボストンで開催されるWorld Economic History Congress 2018 には、Feiertag教授、Austin教授はもちろんのこと、それ以外にも本研究に関心をもってくださっている海外の研究者も参加することこととなっており、本研究の中間報告をさせていただくことで、研究の深化・発展を試みる予定である。平成30年度は、イギリスの公文書館でも関連史料の収集に努める予定である。
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