2017 Fiscal Year Research-status Report
儒学政治思想の持続と変容:朝鮮半島の国際政治認識を中心に(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0116
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
姜 東局 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80402387)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 伝統 / 東アジア / 政治思想・制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度には、報告者がワシントン大学ジャクソン国際関係学大学院に訪問学者として滞在しながら、本研究課題の2年目の共同研究を行った。具体的には、政治制度の専門家であるハ・ヨンチュル(Ha Yong-Chool)教授とともに、東アジアの政治における伝統と近代の多様な関係性に関する思想と制度を総合した共同研究を本格的に推進するとともに、同じテーマに関して、報告者の専門である思想分野における研究をも続けた。 思想分野の研究では、「思想の内容だけではなく、思想の構造にも注目することで、東アジア政治思想における伝統と近代の複雑な関係性を総合的に把握する道を探る」という方向性のもと、朱子学の受容と変容がもたらした思想構造の相違から、東アジア各国の政治思想の近代的な転換における相違を究明するという研究の大筋がまとまった。そこで、2018年3月7日に「Rethinking Tradition and Modernity in East Asian Political Thought: The Functions of Spheres of Thought in Modern Korea」というコロキウムを開催し、ワシントン大学の研究者、そしてソウル大学のホ・ス教授等の訪問学者へ研究内容を発信した。 ハ教授との共同研究の部分では、すでに合意していた比較歴史研究(comparative historical research)を実際の研究に使えるよう、さらに磨けるとともに、如何なる事例を選択するかの問題について議論を重ねた。その結果、比較歴史研究の方法の観点から、明治時代の日本と1960-70年代の韓国における伝統と近代の問題を取り上げることにし、思想と制度の両方に関わる重要な日韓のテキストを一緒に分析するという共同作業を展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において、2017年度では合意された方法を共有しながら、東アジアの政治における伝統と近代の問題の核心になるテーマ―政治体制、国際関係、官僚制、産業化など-に関わる主要な事例や資料を一緒に検討することになっているが、実際、報告者がワシントン大学で滞在して、共同研究者と積極的に協力しながら、計画されていた作業を順調に行った。その結果、共同研究のテーマが具体的に設定され、共同研究成果の執筆の方法や分担についても明確化された。以上の進捗状況からすると、研究はおおむね順調に進んでいるといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究過程で申請者の主な担当である思想分野において得られた研究成果に関しては、すでにワシントン大学で行われたコロキウムで報告した内容を中心に、一連の単独論文を執筆し、日本語、韓国語などの複数の言語で公表する予定である。 共同研究については、報告者は日本、ハ教授はアメリカにおいて、共同研究の成果をまとめて、段階的に発信を行う。具体的には、共著の形で公表する予定の論文の担当部分を執筆するとともに、お互いの担当部分を検討する作業を繰り返す。この研究成果は、英語で公表される予定であるが、まずは、2018年10月を目途にアメリカで口頭での報告を行ってから、共著の論文をまとめて英語圏の有力な学術雑誌に掲載することを目指す。
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Research Products
(2 results)