2017 Fiscal Year Research-status Report
20世紀アジアの国際関係とインドネシア華人の移動(国際共同研究強化)
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15KK0118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 由美 京都大学, 附属図書館, 准教授 (70335214)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 東南アジア / 東アジア / 華僑・華人 / ディアスポラ / 移動 / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の元となった基盤研究(B)「20 世紀アジアの国際関係とインドネシア華人の移動」は、インドネシア華人とその再移住の調査を通じて、脱植民地化、国民国家形成、冷戦といった20 世紀のアジアの国際関係を個々人のナラティブからとらえなおすことを目的としていた。本研究の目的は、これまで中国大陸と移民先の2地点との関係を中心に論じられてきた華人研究に、台湾との関係を日-台-イの研究者が共同で研究することで、華人研究を相対化し、新たなパースペクティブを提示することである。 2年目となる本年度は、初年度のインドネシア科学院と台湾政治大学への滞在期間を活用して、双方における共同研究者と企画した国際ワークショップをインドネシア科学院で開催した。さらに、その成果の一部を国際ジャーナルIssues and Studies: A Social Science Quarterly on China, Taiwan, East Asian Affairsの特集号として掲載することが決まり、刊行に向けて準備を行った。国際ワークショップでは、日本、インドネシア、台湾、の研究者らに加え、マレーシアからも参加者を迎えて、丸二日間行った。国際政治、移動、文化表象、文学、宗教、華人史、華人の政治参加など10人の発表者による多岐にわた報告に対して、4人の討論者が社会学、カルチュラル・スタディーズ、歴史学、宗教学などの観点からコメントをし、総合議論を行った。このワークショップの成果としては、東アジア・東南アジアに定住している華人を対象としていた従来の華人研究に加え、1980年以降に中国から宗教的理由でマレーシア・インドネシアに移住した回族移民、東南アジアから台湾へ移動した移民の現在の台湾の新南方政策への影響、マレーシアから中国へ移動する華人映画監督らなど、新たな展開についても議論する機会を得たことが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年度にジャカルタで開催した国際ワークショップにおいて、日本、インドネシア、台湾、マレーシアからの出席者によって、従来の華人研究では十分に検討されてこなかった、東アジアと東南アジア間の新たな移動のタイプや、移動によるそれぞれの社会への影響などに関しての理解が深まった。また、ワークショップの成果の一部を、国際ジャーナルIssues and Studies: A Social Science Quarterly on China, Taiwan, East Asian Affairsの特集号として掲載することが決まり、当初の研究計画で十分に検討していなかった研究成果の国際発信についても取り組むことができたことから、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、台湾でのワークショップの開催を計画している。台湾のワークショップで、ジャカルタのワークショップでの議論をさらに進め、華人研究の新たなパースペクティブの検討を行う予定である。その上で最終的な成果を、雑誌の特集号または編著本として公開していきたい。
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