2016 Fiscal Year Research-status Report
超平面配置や二次曲線配置の実構造を使った研究(国際共同研究強化)
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15KK0144
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉永 正彦 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (90467647)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 超平面配置 / ミルナーファイバー / 格子点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、超平面配置に関連した様々な離散構造の研究を通して、数え上げ組合せ論やトポロジーに関連する問題を扱うことを目的としている。2016年度は、前年度から継続して行っている、Ehrhart理論(格子点の数え上げ理論)を使った、ルート系のm次のLinial配置の特性多項式の零点分布に関するPostnikov-Stanleyの予想に関する進展があった。この問題は2000年頃提起され、直後に古典型ルート系に対しては分類を使うことで解決されたが例外型は手つかずであった。昨年度までに、分類によらない特性準多項式の一般的な表示が得られており、それを発展させた結果、例外型でもパラメータmが十分大きい時には予想が成立することを証明することができた。8月末からドイツのブレーメンに長期滞在しているが、10月までに論文原稿が一通り完成し、現在専門誌へ投稿中である。以上の結果について、1月にハノーファー大学のセミナーで講演した際に、Michael Cuntz教授から計算機を援用することで、残りのケースを証明するアイデアの提示を受け、その方向での研究を共同で開始した。 もう一つ、コアメーバを使った超平面配置の研究をテーマとしている。本テーマでは、問題の整理・検討の結果、『超平面配置のコアメーバを有向マトロイドの構造を使って記述せよ』という問題に集約されることが分かった。ここ数年、マトロイドや有向マトロイドを「超体上のマトロイド」という形で統一するというアイデアが注目を浴びているが、上記問題は超体を使った定式化とも相性が良いことが分かった。 P. Bailet氏とも、超平面配置のミルナーファイバーのモノドロミーの研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに得られていた、Ehrhart理論とEuler多項式を使ったルート系のLinial配置の特性準多項式の表示を発展させることで、十数年来の未解決問題を進展をもたらすことができた。Postnikov-Stanleyの予想の残された部分は有限個のケースのチェックとなったので(いくつチェックすればよいか、という点はまだ評価できていないが)何らかの方法で完全に解決させることも十分期待できる状況まで進展したと言える。現時点までの結果は既に論文として投稿中である。 もう一つのコアメーバに関する研究では、国際的な研究の流れの中で、本問題意識の意義を確認できたことが収穫であった。本質的な問題と目指す方向性が明らかになった。 以上より、研究の活動としては順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ルート系のLinial配置のPostnikov-Stanleyの予想については、2016年度に本質的な進展があったので、完全解決を目指す。方針としては二つのアイデアがあり、どちらも排除せず検討したい。一つは、「残り有限個」の個数を評価することである。安直な評価では、個別のチェックが困難な大きな数がでてくる可能性が高い(それすらも容易ではないが)。多項式の零点分布に関する過去の研究を検討するなどして、手が届くところまで小さな値で評価できるかどうかが問題である。もう一つは、計算機を援用し、特性多項式を変換して次数の低い多項式の研究に帰着するという(Cuntz氏との議論で得られたアイデア)である。この方針は、F4型ではうまくいくことが分かっており、残りのE型に拡張できるかどうかを検討する。 コアメーバの研究については、集約された問題「コアメーバの有向マトロイドを使った記述」にFeichtner氏と共同で注力する。 P. Bailet氏とすすめているミルナーファイバーの研究は、3月末にA. Dimca氏の訪問を受けた際に、研究の議論を開始し、Dimca氏の過去の研究を発展させる共同研究となった。代数曲面上の曲線の交点数に関する組合せ論的議論と、代数幾何的な手法をあわせることで、既存の結果よりも強力な、局所系係数コホモロジーの消滅定理の確立を目指す。
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Research Products
(7 results)