2017 Fiscal Year Research-status Report
超平面配置や二次曲線配置の実構造を使った研究(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0144
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉永 正彦 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90467647)
|
Project Period (FY) |
2016 – 2018
|
Keywords | 超平面配置 / マトロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の後半から引き続き、2017年度の前半までBremen大学(ドイツ)に滞在し、研究を継続した。研究内容は、(1)ルート系のLinial配置の特性多項式に関するPostnikov-Stanleyの予想周辺、(2)コアメーバと超平面配置補集合の位相構造に関する研究、(3)直線配置のミルナーファイバーへのモノドロミー作用の研究、を引き続き進めた。その中では、(3)はAlexandru Dimca氏(Nice大学)にも研究に加わってもらい、Cohen-Dimca-Orlikによる、ねじれホモロジーの消滅定理を一般化する成果を得て、論文としてまとめ発表した(2017年12月にアクセプト済み)。(1)については、昨年度末の段階で、二つの方策を考えていたが、そのうち一つをM. Cuntz氏(Hannover大学)と議論をして研究を進めた結果、E8型以外では、Postnikov-Stanleyの予想が解決できる見通しが立った。(2)については、Feichtner氏と議論をして研究を進めたが、いくつかの簡単な例以外では、コアメーバの構造が想像以上に複雑であることがわかってきた。コアメーバに限らずに、空間の滑層構造をより広い立場から扱う必要が出てきた。 上記の(2)に関係して、マトロイドの一般化やTutte多項式の一般化が最近研究されているが、それらを統一的に扱う「G-Tutte多項式」を導入し、その基本性質と応用を研究した(Ye Liu, Tan Nhat Tran (ともに北海道大学)との共同研究)。 当初からの予定通り、6月にPisaで国際会議「Perspectives in Algebraic Topology」と「Arrangements and Beyond」を開催した。関連分野の研究者の多くの講演を企画した。ドイツやスイスの何か所かで研究成果発表をした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本計画で中心的な課題と位置付けていた、コアメーバの分析とその応用については、いくつかの例の記述を行った以外には残念ながら定性的な結果は得られていない。当初の予定では(a)コアメーバと超平面補集合のホモトピー同値性を示す、(b)コアメーバの構造を記述し、(c)それを超平面配置のトポロジーに応用する、という順序で進める予定であり、(a)については、すぐにできると想定していた。基本的なアイデアは現時点でも問題なさそうではあるが、コアメーバが局所コンパクトではないことが、多くの既存の理論の適用の障害となり、(a)の証明は現時点でも完成していない。また実験的に行っている(b)に関しても、想像以上に複雑になる例が見られ、応用を視野に入れてコアメーバの記述を行う上での困難が多く見えてきた。 他方、コアメーバ以外の研究は想定していた以上に進んだと考えている。直線配置のねじれコホモロジーの消滅定理に関しては、Dimca氏と2013年ごろから目指していた方向での研究が一段落したといえる。G-Tutte多項式の導入により、特性準多項式と呼ばれる数え上げ関数とトーリック配置のポアンカレ多項式という位相不変量の新たな関係が明らかになった、さらに超平面配置とトーリック配置を補完する対象が見えつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
コアメーバに関する当初の計画を実行するべく、滑層化された空間のホモトピー型に関する研究を精査し、適用の可能性を探る。 G-Tutte多項式の周辺は、研究を進めるべき様々な側面が見えてきている。数え上げ関数、特性準多項式と関係した側面では、Ehrhart準多項式がGCD性と呼ばれる性質を持つような多面体の非自明なクラスが興味深いと考えているが、有理数ベクトルで平行移動して得られる格子ゾノトープのGCD性が、多くの例で確かめられたので、この問題の検証を早期に実行したい。またマトロイドやTutte多項式の圏化ともいうべき研究が行われている。G-Tutte多項式の圏化に関する研究を特に多項式関手の概念との関係に注目して進めることが重要だと考えている。
|
Research Products
(7 results)