2018 Fiscal Year Research-status Report
原油増進回収に向けた棒状逆ミセルによる二酸化炭素の粘度増大(国際共同研究強化)
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15KK0221
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鷺坂 将伸 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (60374815)
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Project Period (FY) |
2016 – 2019
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Keywords | 二酸化炭素 / 会合体 / 両親媒性分子 / 高分子 / 逆ミセル / 粘度 / 超臨界流体 / 棒状 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに開発した超臨界CO2系棒状会合体の粘度測定を行うため、8/23~8/31に米国ピッツバーグ大学(PU)のProf Robert Enickの研究室に滞在し、高圧流体用落球式粘度計を借りて粘度測定を行った。残念ながら、昨年度発見された3倍の増粘効果を超える棒状会合体以上のものを発見することはできなかった。 開発した棒状会合体のナノ構造を検討するため、5/1~5/18および11/28~12/6の期間にブリストル大学(UB)およびラザフォードアップルトン研究所(RAL)に滞在し、UBのProf Julian EastoeおよびRALのDr Sarah Rogers、英国スォンジー大学(SU)のDr Shirin Alexanderとともに、高小角中性子散乱測定の準備と実施、データ解析、論文投稿の打ち合わせを行った。その結果、CO2親和性ポリマーの添加により、両親媒性分子が形成する棒状会合体の伸長が確認され、両親媒性分子へのポリマー混合がCO2の増粘に有効であることが分かった。 さらに、10/8~10/18に仏国ニース大学(UN)に滞在し、UNのProf Frederic Guittardとともに低表面エネルギーポリマーの合成・物性評価、今後の共同研究の打ち合わせ、そして国際学会N.I.C.E conference 2018(仏国ニース)での招待講演を行った。6/10~6/13に2018 International colloid conference (中国上海)にて成果発表を行い、学会主催者のUBのProf Eastoeと棒状会合体に関する研究打ち合わせを行った。 これまでの成果として、SUとの共著論文1報、UBおよびRALとの共著論文2報、UB、RAL、UNとの共著論文1報、UBとPUとの共著論文1報が提出され、掲載または受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、2018年度にテキサス大学Prof Keith Johnstonとの共同研究を行う予定であったが、企業との共同研究における秘密保持契約のため、テキサス大学に滞在しての研究は断念された。そのため、テキサス大学で行う予定であったCO2-in-water型foam(CO2 foam)の研究については、自身の研究室にて、調製装置・評価装置を作製し、実施することとした。しかし、良好なCO2foamの調製には成功したが、CO2foamの粘度測定装置の開発が遅れており、目標「CO2粘度の10倍増大」が達成できているか確認されていない。本研究課題は、上記の理由から1年間の研究期間延長を行い、2019年度も引き続き研究を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
超臨界CO2系棒状会合体の開発については、これまでの3年間の研究を通して3倍の粘度増大を達成しているが、それ以上の粘度増大を引き起こす会合体の開発には至っておらず、両親媒性分子単独では、目的達成「10倍の粘度増大」は困難であると考えられる。そこで、棒状会合体を伸長させるCO2親和性高分子の開発を加速させ、さらに、粘度増大が期待できるCO2foamの開発にも注力する。ただし、CO2 foamの粘度は、均一溶液に適用できる既存の高圧粘度測定装置では測定できず、またCO2foam用粘度測定装置をもつテキサス大学との共同研究も実現できなかったため、CO2 foam用高圧粘度測定装置を独自に製作する(東京大学との共同研究)。そして、2019年度は、これまでと同様に、ブリストル大学およびRutherford Appleton研究所、ニース大学の助力を得て、CO2親和性高分子を複合した棒状会合体とCO2 foamの開発を進める。
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Research Products
(29 results)