2017 Fiscal Year Research-status Report
新奇な塩輸送体の機能改変を通した植物の耐塩性の改善(国際共同研究強化)
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15KK0283
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 晃弘 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (10578248)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 塩ストレス / ナトリウム / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
塩ストレス下では過剰量のナトリウムを体内に蓄積することで植物の生育阻害が起こる。よって植物が持つナトリウム輸送系を理解することは植物の耐塩性を向上させる上で重要である。植物体内でのナトリウム輸送系、特に、地上部からのナトリウム排除機構についてはこれまでに良く研究がなされてきた。一方で、外部環境と根の間でのナトリウム輸送についてはよく理解されていない。どのようにして植物の根にナトリウムが流入するのか、また植物の根に蓄積されたナトリウムは再び外部環境へと排出されうるのか、またその仕組みについては知見が乏しい。 昨年度からの継続課題として根へのナトリウム流入機構の解明を行うため、塩ストレス処理直後の体内ナトリウム濃度を指標として、イネ品種の2次選抜を行った。また、今年度は根からのナトリウム排出機構の解明に取り組んだ。タイ・カセサート大学農学部と共同研究を行い、耐塩性イネ品種の選抜とともに、根からのナトリウム排出能が高い品種の選抜も試みた。世界のコアコレクションのうちの20品種を使って根からのナトリウム排出能を調べたところ、品種間で大きな差が見られた。これら20品種には耐塩性に優れた品種は含まれていなかったが、ナトリウム排出能に差がみられたのは興味深く、現在、耐塩性品種との比較試験を行っている。耐塩性品種を選抜している際に、水耕液中の他の必須元素の濃度変化がイネの耐塩性に影響を与えていることが見つかったのは予想外の収穫であった。最終年度にあわせて、そのメカニズムの詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナトリウム流入および排出に関する品種の選抜が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ナトリウム流入および排出に関して選抜された品種群を用いた比較生理学・分子生物学的解析を行い、ナトリウムの輸送に関わる遺伝子候補の同定を行う。
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