2017 Fiscal Year Research-status Report
エンドサイトーシスと外来因子取込を制御する細胞内シグナル伝達マシナリー(国際共同研究強化)
Project/Area Number |
15KK0290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 雄介 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30333503)
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Project Period (FY) |
2016 – 2018
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Keywords | 蛍光イメージング / シグナル伝達 / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は複数のオルガネラ間での局在のダイナミックな変化を、蛍光バイオイメージングにより解析し、新しいオルガネラダイナミクスの制御機構を解明することを目的に行っている。本年度は、エンドソームとミトコンドリアの位置関係を定量的に解析した。両者は一定の確率で接触することがわかった。この接触確率は増殖因子刺激等で増加する。また、我々がPI3K結合因子として同定したミトコンドリア局在因子をノックダウンしたところ、エンドソームとミトコンドリアの接触が抑制された。一方、過剰発現細胞においては接触確率が上昇した。現在は、ミトコンドリア因子のPI3K結合部位の同定を行い、結合とエンドソーム―ミトコンドリア相互作用の因果関係およびエンドサイトーシス制御への関与を調べている。 一方、上記の様はオルガネラ間相互作用部位などの膜変形を高精度に観察する実験系を構築中である。蛍光タンパク質を細胞膜に比較的強固に固定し、その双極子の方向が細胞膜のトポロジーに対して一定に配向するバイオセンサーを構築中である。これにより膜の微細な構造変化が蛍光偏光顕微鏡により検出可能になる。また、膜への局在化シグナルの一部に脂質認識部位を導入することで、膜の組成変化を蛍光偏光の変化として捉えるバイオセンサーも構築中である。さらに、実際に物理的に生じる膜変形は高速原子間力顕微鏡を用いて同時観察することで膜動態ダイナミクスを統合的に観察することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね調書記載の計画通りの進捗であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したバイオセンサーを用いてMarine Biological LaboratoryのDr. Tani研究室で開発した全反射型蛍光偏光顕微鏡を用い、細胞膜とオルガネラの膜表面の微細な変形を蛍光偏光の変化として捉えられるかどうかを検討する。さらに高速原子間力顕微鏡でのデータと照らし合わせながら、膜動態の制御機構の解明を目指す。基礎的データが出揃ったところで、上記の二つの観察系を一本化し、ハイブリッド顕微鏡での同時観察が可能な顕微鏡の構成を洗い出し、導入への準備を行う。最終的には、各因子間、あるいは現象間の関係性を紐解くため、観察事象のモデル化を行い、エンドサイトーシスやオルガネラ制御機構を統合的に理解する。
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Research Products
(12 results)