2016 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋グルココルチコイドレセプターを介した転写制御機構に関する研究(国際共同研究強化)
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15KK0332
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 宣明 東京大学, 医科学研究所, 特任講師 (30396890)
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Project Period (FY) |
2015 – 2017
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Keywords | メカノバイオロジー / レジスタンスエクササイズ / 筋肥大 / PGC1 / 核内受容体 / アトロジーン / 肥満 / ステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
グルココルチコイド(GC)-グルココルチコイドレセプター(GR)軸をカギとした遺伝子転写制御を介した骨格筋タンパク質代謝調節(Shimizu NらCell Metabolism 2011)は、骨格筋(Muscle)-肝臓(Liver)-脂肪組織(Adipose)連携(MLA軸)によって、全身の貯蔵エネルギー物質バランス、エネルギーフロー制御の重要な一翼を担っていることを明らかにした(Shimizu NらNature Communications 2015)。本研究では、骨格筋代謝制御におけるGCの作用機構と生理的な意義を、GRを介した遺伝子発現制御機構の解析、とくにresistance exercise(筋力負荷)による筋肥大のカギ因子PGC1alpha4およびendurance exerciseによる好気的代謝亢進のカギ因子PGC1alpha1がこの機構において果たす役割の解析を基軸として究明する。また、メカニカルストレスすなわち運動による全身エネルギー代謝制御の変容機構において、MLA軸が果たす役割を示し、Mechano-Metaboカップリングの分子的基盤を明らかにすることを目的としている。平成28年度は、①組換えアデノウイルスを用いたPGC1alpha1、PGC1alpha4強制発現系によるin vitro実験系の基盤を確立、②合成グルココルチコイドを投与した骨格筋特異的PGC1alpha4トランスジェニックマウスの骨格筋におけるmRNA発現解析を開始したとともに、③骨格筋量を規定するプロセスのひとつ、タンパク質分解の亢進と相関する新たな血中因子マーカー候補を同定し、④筋力負荷による筋肥大をマウスに効率よく起こさせるデバイスとプロトコールの確立を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、5月13日~5月23日および10月4日~11月25日の期間に渡航した。海外共同研究先への渡航中に実施した実験によって得た試料は、渡航先(欧州)と国内所属研究機関の双方で連携のもと並行して解析中である。筋力負荷による筋肥大を効率よく起こさせる新規デバイスとプロトコールは、マウス個体におけるエネルギー代謝と筋量・筋代謝との関係解析を飛躍的に推進する可能性が高い。また、渡航中の実験の過程で、骨格筋におけるグルココルチコイド作用の結果である筋萎縮に関連する、新たな血中マーカー因子の候補を同定した。その発現制御と、骨格筋GR-骨格筋PGC1alphaクロストークとの関係の解析を行うにあたり、海外共同研究先とともに、欧州にて当該因子の機能を研究中のグループと共同で推進する体制を整えつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、骨格筋特異的PGC1alpha4トランスジェニックマウスを渡航先より持ち帰り、かかるマウスを遺伝的背景に持つ骨格筋特異的GR遺伝子破壊マウスを作製する。マウスの筋力負荷トレーニングと、PGC1alpha4の活性が、GR制御下遺伝子発現に与える影響の解析を推進する。さらに、肝臓、白色脂肪組織におけるmRNA発現プロファイル、血漿中アミノ酸成分、血漿FGF21濃度、および【現在までの進捗状況】にて前述の新規マーカ因子候補の濃度、各組織中の栄養物質(グリコーゲン、トリグリセリド等)含有量の解析を行う。PGC1alpha4によるGR標的遺伝子発現の鈍化が、全身エネルギーフローの変容を、血中アラニン量依存的に引き起こす可能性を検証する。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] The histone 3 lysine 9 methyltransferase inhibitor chaetocin improves prognosis in a rat model of high salt diet-induced heart failure2017
Author(s)
Ono T, Kamimura N, Matsuhashi T, Nagai T, Nishiyama T, Endo J, Hishiki T, Nakanishi T, Shimizu N, Tanaka H, Ohta S, Suematsu M, Ieda M, Sano M, Fukuda K, Kaneda R
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 39752
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The effects of bolus supplementation of branched-chain amino acids on skeletal muscle mass, strength, and function in patients with rheumatic disorders during glucocorticoid treatment2016
Author(s)
Yoshikawa N, Shimizu N (equal first author), Uehara M, Oda A, Matsumiya R, Matsubara E, Kobayashi H, Hosono O, Kuribara-Souta A, Baba H, Nagamura F, Kiryu S, Tanaka H
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Journal Title
Modern Rheumatology
Volume: Epub ahead of print
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] アンドロゲンによる骨格筋増強機構の解明2016
Author(s)
榊原伊織, 清水宣明, 上住聡芳, 深田 宗一朗, 田中廣壽, 今井祐記
Organizer
第39回日本分子生物学会年会(シンポジウム『核内受容体バイオロジー』)
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
Year and Date
2016-12-01 – 2016-12-01
Invited
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[Presentation] リウマチ膠原病患者におけるステロイド筋症に対する分岐鎖アミノ酸投与の効果に関する検討2016
Author(s)
吉川賢忠, 上原昌晃, 小田彩, 細野治, 松原絵里佳, 馬場洋行, 栗原明子, 清水宣明, 丸山崇子, 江里俊樹, 田坂有希, 桐生茂, 田中廣壽
Organizer
第2回日本筋学会学術集会
Place of Presentation
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)
Year and Date
2016-08-05 – 2016-08-05
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[Presentation] ステロイド筋症に対する分岐鎖アミノ酸の効果に関する検討2016
Author(s)
吉川賢忠, 上原昌晃, 小田彩, 松宮遼, 小林弘, 松原絵里佳, 細野治, 清水宣明, 栗原明子, 馬場洋行, 桐生茂, 田中廣壽
Organizer
第89回日本内分泌学会学術総会
Place of Presentation
国立京都国際会館(京都府京都市)
Year and Date
2016-04-22 – 2016-04-22
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