2015 Fiscal Year Research-status Report
有畜循環農業における放射性セシウムの農地、作物、畜産物、堆肥等への移行動態解析
Project/Area Number |
15KT0025
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田野井 慶太朗 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90361576)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 俊佑 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10313082)
中西 友子 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30124275)
西村 拓 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40237730)
二瓶 直登 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (50504065)
山岸 順子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60191219)
小林 奈通子 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (60708345)
廣瀬 農 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (90708372)
|
Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2019-03-31
|
Keywords | 放射性セシウムの農地循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
茨城県笠間市にある東京大学大学院農学生命科学研究科附属牧場(以下、牧場)、および福島県飯舘村(以下、飯舘村)の2箇所のフィールドを設定し、有畜循環農業の環を意識した実験系をスタートさせた。飯舘村では、畜産を伴わないながらも、高濃度に放射性セシウムで汚染された土壌を利用した作物への移行解析やその作物残渣の農地還元について現地調査圃場を選定し、農地利用をスタートさせた。牧場では、原発事故後に天地返しを行った圃場において、汚染された堆肥の施用量を3段階(0t/10a、1t/10a(標準)、5t/10a)とし3反復の試験圃場(1試験区1a)を設け、ソバとオオムギの栽培を行った。 測定対象は、堆肥、土壌、作物、家畜、残渣、糞尿といった農業の過程での産物とし、測定項目としては放射性セシウム濃度を第一に実施したが、今後窒素など把握できるようなサンプリングをした。家畜は、汚染された地域にいた豚の後代について、ホルモンなどストレス応答に関連する指標について血液検査を行った。 今年度の試験において、土壌中の放射性セシウム濃度を測定したところ、投入した堆肥の量に応じた放射性セシウム濃度の上昇が見られた。一方で、その圃場で生育させたソバにおいては、放射性セシウム濃度の上昇は見られなかった。このことより、投入した堆肥中のカリウムが、放射性セシウムの作物移行を低減させていることが示唆された。今後もこのサイクルを繰り返し経年的なデータを蓄積することで、汚染堆肥が作物への放射性セシウム混入に与える影響について解析していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後調査すべき圃場の設定などが順調に進んだ。また土壌や作物、堆肥のサンプリングおよび放射性セシウム濃度の測定も計画通り実施することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も循環農業を継続する圃場が選定できたので、来年度以降も農業を実施し調査活動を継続する。さらに、窒素動態や土壌物理性についても調査を行う方針である。
|
Causes of Carryover |
技術補佐員として適任がいなかったため、人件費が未使用となった。また、その影響で一部の測定はサンプル処理まで終わっているものの、測定を外注に出す段階まで進めておらず、分析外注費を使用しなかった。その関連の消耗品の使用がすくなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
技術補佐員を次年度当初より配置し、測定を進める見通しがたっている。次年度使用額は技術補佐員雇用の時間を増やすことや分析外注費として使用する計画である。
|
Research Products
(1 results)