2019 Fiscal Year Annual Research Report
Control of transition state in metal-supported-catalyzed reactions with organo catalysis
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15KT0066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 良一 九州大学, 理学研究院, 教授 (20273477)
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Project Period (FY) |
2015-07-10 – 2020-03-31
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Keywords | 触媒的不斉合成 / 水素化 / 有機触媒 / 金属担持触媒 / ブレンステッド酸 / イミン / アミン |
Outline of Annual Research Achievements |
芳香環の触媒的不斉水素化の実現を目指して、金属担持触媒と光学活性ブレンステッド酸を複合的に組み合わせた触媒系の構築を目指した。当初、各種ブレンステッド酸と金属担持触媒とを組む合わせて構築し、2-キノリンの水素化をモデル反応としてその性能を比較した、その結果、5%ルテニウム-炭素と3,3'位が3,5-ジ-t-ブチルフェニル基で置換された光学活性ビナフチル骨格をもつスルホンイミドを光学活性ブレンステッド酸として利用することにより36% eeの水素化生成物が収率22%で、また4-t-ブチルフェニル基で置換されたスルホンイミドを用いることによって、21% eeの水素化生成物が収率92% で得られた。しかし、基質の反応性が低く、水素圧50気圧、反応温度80℃といった比較的激しい反応条件を必要とするため、それ以上の改善は見られなかった。 本年度は、より高い反応性を示すと考えられる環状イミンを基質として、上記の複合触媒系を利用して不斉水素化を検討した。これまでに報告されている光学活性リン酸、リン酸イミド、スルホン酸イミドなどの光学活性ブレンステッド酸と5%パラジウム-アルミナから構成される複合触媒系を用いて3,4-ジヒドロ-1-フェニルイソキノリンの水素化を大気圧下、反応温度30℃で試みたところ、3,3'位が4-t-ブチルフェニル基で置換されたビナフチル構造をもつ光学活性リン酸を用いたときに、44% eeの水素化生成物が得られた。さらに、水素圧10気圧、反応温度3℃でこの環状イミンの水素化を行うことにより、収率は10%と低いながらも、63% eeの水素化生成物を得ることに成功した。 以上の研究成果は、これまで遷移状態制御による選択性の発現が困難であると考えられてきた金属担持触媒による水素化反応において、光学活性ブレンステッド酸触媒によって立体化学制御が可能であることを初めて示すものである。
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