2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16001003
|
Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20278443)
小嶋 良種 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特任教授 (40047139)
吉川 豊 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (20388028)
|
Keywords | 糖尿病治療薬 / 金属錯体 / バナジウム / 亜鉛 / インスリン様作用 / 血糖降下作用 / アリキシン / インスリンシグナル伝達経路 |
Research Abstract |
糖尿病(DM)はインスリンの絶対的および相対的不足による疾患であり、それぞれ1型および2型糖尿病に大別される。前者は1日数回の血糖測定とそれに続くインスリンの皮下注射が唯一の治療法であり、患者に肉体的および精神的苦痛を与えるため経口糖尿病薬の開発が望まれている。後者はいくつかの合成薬剤が開発されているが重い副作用を示すことがあり、新しいタイプの糖尿病治療薬の開発が急がれている。本研究ではインスリンや合成薬剤に代わりうる治療剤としてバナジウム(V)や亜鉛(Zn)錯体に注目し研究した。 我々は、マルトールを配位子としたZnおよびV錯体(Zn(ma)_2およびVO(ma)_2)がin vitroおよびin vivoにおいて強いインスリン様作用を示すことに注目し、これらの錯体をリード化合物として、脂肪細胞を用いて関連錯体のin vitroインスリン様活性を比較検討した。ニンニクから得られるアリキシンを配位子とした金属錯体(Zn(alx)_2およびVO(alx)_2)が最も強力であることを見出した。これらの錯体の作用機構を解明するため、細胞内糖代謝に関連する種々の酵素の阻害剤を用いて検討し、ZnおよびVはホスホジエステラーゼおよびグルコーストランスポーターなどの細胞内酵素に作用点を持つことを見出した。一方、これまでに我々が開発したVO(pic)_2についても機構研究を展開した。脂肪細胞から分化させたマウス3T3-L1細胞にVO(pic)_2錯体を与えたところ、GLUT4の活性化因子であるAkt kinaseが活性化することが分った。しかし、VOSO_4では同濃度、同反応時間では同様の反応が見られなかった。これらの結果より、VO(pic)_2錯体は、インスリンシグナル伝達経路を速やかに活性化させることのできる錯体であることを見出した。 続いて、糖尿病動物における活性の評価を行った。Zn(alx)_2は肥満2型糖尿病マウスにおいてZn(ma)_2より強い血糖降下作用を示し、レプチン抵抗性を改善することによる抗肥満作用を示すことが分った。一方、VO(alx)_2は1型および2型糖尿病マウスにおいてVO(ma)_2よりも強い血糖降下作用を示すことが分った。
|
Research Products
(10 results)